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忙しい人のための「ケーリーバンドの1世紀 by オシーン・マクディアマダ」

12/5(土)のフェーレ東京オンライン2020のプログラム「ケーリーバンドの1世紀」のメモです(オシーンの許可は取得済みです)。

動画のアーカイブ公開後、加筆修正予定。

予備知識

ケーリー
セットダンスやケーリーダンス、ワルツ、クイックステップなどのダンスを踊ったり、おしゃべりしたり、お茶する社交の催し。アイルランドやスコットランドをはじめ、イギリス、デンマーク、ドイツなどのヨーロッパやオーストラリア、アメリカ、日本などで盛ん。

ケーリーバンド
ケーリーでダンスを踊るときに伴奏をする奏者。3,4人〜10人程度の編成がある。用いられる楽器はアイリッシュフルート、フィドル、バンジョー、コンサーティーナ、ボタンアコーディオン、ピアノ、ドラムなど。フラーのコンペティションに参加し、優勝を目指すことに力を入れて練習するケーリーバンドもある。

フラー

アイルランドの伝統音楽の祭典。各楽器やダンス、ケーリーバンドの演奏のコンペティションをはじめ、町中でセッションやダンス、ライブなどの催しがある。

概要

・文化復興やイギリスからの独立、人々を集めることが時代背景にあったが、ここ50年で社会的・文化的な意味合いを帯びた
・1970年代、セットダンスリバイバルで「ケーリー」が世界へ輸出
・初のケーリーは1897年のイギリス。セットダンスだけでなく、ヨーロッパの様々なダンスが披露された
・当時はフィアケーリー(fear céilí)、ケーリーダンスなどが中心でゲーリックリーグ主導のものだった
・70年代のケーリーの伴奏スピードは現代のものよりもゆったりしていた

ケーリーバンドについて

・キルフェノーラケーリーバンドが現存最古のケーリバンド
・現在の伴奏方式の「繰り返しの演奏」は「Fife and Drum Band」が始めた。当時のケーリーバンドは地方での演奏が主流だった
・当時は教会の権威が大きく、ケーリーバンドにも影響力を持っていた。キルフェノーラケーリーバンド(Kilfenora Ceili Band)は教会の改修の費用を集めるため演奏していたが、人気が出てきてバンドスタイルが変わった
・1935年の Public Hall Actによってハウスダンスが禁止され、公共ホールのみでダンスの催しを行うようになり、エンタメ性を帯びた
・1946年に創設されたタラケーリーバンド(Tulla Céilí Band)はカジュアルなスタイル。メンバーの年齢が幅広い
・バリナキル(Ballinakill Traditional Players, East Galway)はアイルランドで初めてケーリー伴奏の収録をした

*レクチャーで紹介されたものではありません

ケーリーバンドの潮流の変化

・当時は地方からダブリンへの上京→定住が多く、クレア、スライゴーなど伝統音楽の演奏がダブリンで聴けるようになった
・Castle Céilí Bandの演奏は1974年の音源だが、現在の演奏に近く、洗練されている

*レクチャーの中で紹介されていたのとは別の動画を掲載しています

・1950年代、60年代からフラーのコンペティションがケーリーバンドの演奏に影響を与えるようになった
・昔はケーリーバンドの編成はそれほど多くなかった。初期の伴奏はピアノでドラムはなかった
・ドラムなどのパーカッションはダンサーの人数が増えて大音量が必要になってから編成に加わった
・フラーのコンペはシニアのカテゴリが一般的だったが、若い世代もコンペに参加するようになった
・上手い人の真似する、新しいスタイルが作られるなど、演奏のレベルが向上していった
・セットダンスに専念するケーリーバンドも生まれた
・フラーのコンペはダンサーではなく、ミュージシャンによって「音楽として」ジャッジされた
・プライベートレッスンなど、指導が広がり音のクオリティが向上していった
・ケーリーバンドは特定の地方での演奏を主に行っていたが、コンペで勝てるように別の地方から奏者を呼んで活動する「コンペ専門」のケーリーバンドも生まれた
・最新のトレンドはリズムとボリュームに重きがある伴奏

Q. コンペ専門のケーリーバンドはケーリーでは演奏しないのですか?
A. いろいろありますが、10人編成の大バンドはバラバラに住んでいるのでケーリーのために集まって演奏するのが物理的に難しい。ケーリーの演奏で必要なのは4,5人。何度かケーリーで演奏したが、演奏する機会が少なかった


Aughrim Slopes Céilí Band


The Shannon Vale


Knockmore Cèili Band


Banna Ceoil Chnoc na Gaoithe, 2019年のフラー優勝


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