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私からの一言

ある人がテレビでこう言ってました。
「あなたが今戻りたい時代は何ですか?」
生まれたころ?
20歳のとき?

私から言わせてみれば、戻りたい時代なんて
ありません。
そもそも運命とは非情以外何ものでもありません。

だから私はイヤなんです。こうして誰もいない公園で
ブランコに乗ってずっと揺らいでいる。
あ、勘違いしないでください。あの映画みたいに
余命宣告を受けて絶望しているわけでブランコに
座ってませんから。

子供のときは貧乏でした。堂々と人前で
「俺は昔貧しかったんだぞ!」と胸張って言えるほど
でした。
あまりにも貧しすぎて親は私を置いて出て行って
しまいました。
それから今に至るまで会っていません。

私の子供時代は「家なき子」そのものでした。
学び舎に行かず町をぶらぶらする日々。
世間の出来事はそれでわかりました。
井戸端会議、ビルに掲げられている大型ビジョン、
見知らぬおっさんが公園のベンチで屯して聞いている
ポケットラジオ。

テレビじゃダメならラジオだ。深夜のコンビニに
押し入り、若い店員をどこで拾ったか知らない拳銃で
撃ち殺して現金、イヤホン、乾電池そして
ポケットラジオ。

人気のない空き家でそのポケットラジオを聴きながら
悦に浸っていました。今でもラジオはイヤホンで
聞いています。しかしこれまで耳を悪くしたことは
ありません。

というわけで私には過去に戻れない事情があると
いうわけです。
ラジオを聴くこと。
子供時代ホームレスだったこと。
強盗殺人を若い時に100回やっていること。

どうせ生きても死んでも、
地獄からは逃れられません。

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