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整列は日本の文化

哲学の道沿いの古い学生アパートの自転車置き場。

散歩の途中に見つけた風景だ。

外国人が日本に来て驚くことの一つに日本の美しい『整列』があると、以前誰かに聞いた。
日本では駐車場に枠線がなくても、車は整列されて停められる。
こんなことは外国では有り得ないらしい。
人の整列が特に外国人には驚かれるようだ。
プラットホームで電車を待つ整列は言うに及ばず、何十万人も人が集まる大規模イベントの開場前の大群の整列も見事だ。
2011年の震災の際、水、食料などの救援物資の配給にも、日本人は律儀に一列に並んで待っていた。「自国なら我先に前に出て物資の奪い合いに必ずなる」と多くに外国人が言っていた。非常事態にもかかわらず、整列する光景は世界中で賞賛されたのは記憶に新しい。

整列は、今や日本を代表する文化の一つと言える。

さて、日本の伝統文様に『行儀文様』と言う図柄がある。
主に江戸小紋に使われている図柄だ。

文字通り、行儀よく並んだ点の図柄。
まさに『整列の美』。

行儀文様は江戸小紋を代表する柄で3cm四方に900余りの点で埋め尽くす。

下手な職人が染めると、ムラになる。
これが、均等にムラなく染めるのは至難の技。
点を拡大してみると、一つ一つの点に個性がある。
隙間も、数学的に均等ではない。
相対的価値観で表現された均等の世界。
パソコンでは、絶対作れない世界だ。

一流の職人が作った江戸小紋の行儀よく整列された点は遠目には無地と見間違うほど美しい。

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