駅西放浪記 2019/9/9
「駅西」と聴いてピンと来るかた、乾杯しましょう。
名古屋駅の西側、椿地区の一画に立呑屋が連なるエリアがありまして。最近お邪魔することが増えています。
写真をやっている友人の「呑み屋のおっちゃん達を撮りたい!」という言葉をきっかけに、よし行くぞ!となった日のお話。
カメラを借りて撮った写真も少し載せます。
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駅西に着く頃にはもう出来上がっていた
そういう訳で、名古屋駅の太閤通口を出たら何やら格好良い自転車に乗っている青年が。
同じ信号で足を止めた流れで、自転車旅ですか?と尋ねてみた。
聞けば22歳、広島から来ているとのこと。
3日目で名古屋に着き、翌日は長野、そのまま北上して宮城を目指すそうだ。
自転車。自分の脚力だけで日本を縦断しようという意思と行動力に、素直な感動を覚えた。
22歳だよ?ビールのことしか考えてなかったもん、自分なんて。今もだけど。
自転車を漕ぎ出した場所と漕ぎ終える場所はきっと同じなのだろうけど、景色や世界はそれこそ全然違って見えるんだろうな。
そんなことを想像しながら、頑張れ!と無責任に激励し、一緒に写真を撮らせてもらってお別れした。
後日談。旅の行方を知りたいという理由で教えてもらったTwitterアカウントから、無事に宮城に着いたとの発信があった。
すごいよ、本当にすごい。旅は人を変えるなんて言うけれど、道中出会った僕ですら刺激を貰ったよ。
目に宿る力ってのは周りにも伝染するのだな。
そう気付かされた、キラキラした眼差しが印象的な青年ライダーとの出会い。
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客引きのお兄さんと立ち話
青年ライダーとの出会いを経て、さあ呑みに行くぞと呑み屋街にくり出せば、当たり前に現れる客引きのお兄さん達。
まだ暑いのに大変だな、と思いながらひとしきりお店の紹介を聴く。
今日は立呑屋に行きます、と伝えたうえで「この辺りに美味しいお店ありますか?」と尋ねたら、嫌な顔ひとつせずに2、3軒のお店を教えてくれた。
客引きという仕事の枠から外れた瞬間、個人として本音でお店を教えてくれた事に、なぜか活き活きとしたエネルギーを感じて嬉しい気持ちになった。
人を惹き付けるひとって素直で嘘がないんだよな。
次に会ったらお兄さんに案内を頼もう。
もうすっかりファンである。
写真は暗くて失敗した。けど、これもまた一期一会ということで。
ちなみに、お兄さんのイチオシは鉄生(てっしょう)というお好み焼き屋さんと、チングという韓国料理屋さんとのこと。大事なデートで使うと決めたのだけれど、予定はまだない。
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いよいよ立呑屋
飲んだぁ飲んだぁ、よく飲んだぁ。
記憶のザルに残った話を少しだけ。
名前も知らないフランスのおっちゃん。
言葉もよくわからないけど乾杯したから友達。
肖像権とかあるわけだけど、向こうもインスタに僕らの写真(それも中々に酔っ払ってキマっている)を断りなく載せているからお相子さま。もしめちゃめちゃに偉い人だったらどうしよう。国際問題にならないことを祈るばかりです。
フランスなのかな、海外のタバコのパッケージ。
女性の下腹部に焼け焦げた穴。子供産めなくなるぜ、ってメッセージらしい。
他にも肺がボロボロになっている写真の物もあるんだそう。
オレは気にしないけどね、って吸ってた。
酒もタバコも、長短踏まえて潔く向き合ってる人間は良いよね。世間的にみたら「あぁ…」って感じだけど、嗜好品としては正しい付き合い方だと思ってる。
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坂本勇人はわたしの勇人
もう何がなんだかって感じだけれど、ジャイアンツファン歴うん十年の"お姉さん"がカッコいい扇子をあおぎながら言ってた。
その気持ちわかるなぁ、僕も昔は赤星が…って口にしそうになったのだけれど、ここで阪神ファンがバレたら血が流れるから、無難に無党派を装って楽しくお喋りを交わした。
職場まで15分、テンションの上がる音楽を聴きながら自転車を漕いで、その勢いでタイムカードを押さないと一日が乗りきれないって話に「わかるわぁ」ってなって、それってバッターボックスに入るときのテーマソングというか、ルーティンみたいなものに近いですよねって。
そう伝えようとした矢先にお姉さんは「しーんのーすけー!」ってコールを始めた。
やっぱり阪神ファンって言わなくて良かったな、明日もビール飲みたいし。
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1995カップル
たぶんカップルじゃない。
けど男女二人組。
おとなしそうな男の子と、色々慣れていそうな女の子。
二人の仲を尋ねたとき、女の子は「もしかしたら私がすごくMで、彼が実はめちゃめちゃSかもしれないでしょ、そういう可能性もあるな、と思って飲んでる!」みたいなことを言っていて、男の子はその横でたじろいでいて。
その話はそこまでだったけど、なんとも言えない二人の距離感が瑞々しいというか、年代問わず器量の良い女性に男は敵わんよな、と妙に府に落ちた次第で。
こういう、呑み屋で知らない人とコミュニケーションをとれる女友達は貴重だから大事にしなね、と老婆心ながらに思いながら、あ!君も左利きなの?って話でひと盛り上がり。
同郷に出会うのと同じくらいに、左利き同士だと距離が縮まるから不思議。ちなみに酒飲みのことも左利きって言うらしいので、僕は生粋の左利きです。
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〆は駅西ラーメン
ジョッキが割れる事件とか、色々とサイドストーリーを乗り越えつつのお会計。今日もよく飲んだ!と店を出たら、道路を挟んで目の前になんとも素朴なラーメン屋が。
立呑屋に入るときは気付かなかったね!って当たり前です。背中を向けてた訳ですから。嗚呼酔払い。
うまい場所に店があるなぁ、って吸い寄せられて入ってみたら、中々に自分好みの細麺豚骨で。
うまいのは立地だけじゃあなかった訳です。
そんなこんなで、リッチでもない僕はタクシーなんて使えないので、終電に間に合うようにサクッと替え玉を平らげ、名駅でお疲れみっつのサクッと解散。
良い出会いの数々を胸に、ひとり寂しく帰路に着くのでありました。
(おわり)
おまけの名駅一番線。ここのベンチも酒呑みと出会えるんだよね、その話はまた後日。
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