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ピノアソートはとくべつな日。

懐かしいな。まだ小学校低学年のころかな。
近所の繁華街(御徒町周辺)にリトル香港って中華料理屋があって。

たまーに、親父の気が向くと日曜の夕飯がそこになった。

当時の僕はもっぱらキュウリが大好物だったし、エビチリなんて美味しくない、中華で食べられるのはラーメンと麻婆豆腐くらい。

何よりちびまる子ちゃんもサザエさんも観られない!早く家に帰りたい! ねえまだご飯終わらないの!なんて言い出す食わず嫌いのお子様だった訳で。

回る円卓が楽しいのは最初だけ。いま思うととんでもないワガママ坊主。親父はよく我慢してくれてたなと。

そんなたまの外食、リトル香港はお会計前にサービスでアイスを出してくれてた。
たぶん子ども連れ向け。それがピノのアソートだった。

当時はなんてこともなかったんだよな。
あまーい冷たーい美味しーいって普通の感想。

でもなんだ、久し振りに食べてみたら、やっぱり甘くて美味しいんだけど、リトル香港の思い出もついてきた。

親父は覚えてるかな。
昔から忙しい人だったから、あの外食はきっと家族サービスだったんだろう。

――――

歳を重ねて、今だからわかることも増えてきた。一度親父と話をしたいな。記憶に残ってる思い出とか、忘れてしまっている出来ごととか、答え合わせをするみたいに。

なんて、昨晩知人のお父様とゆっくりお話させてもらう機会を頂戴して、色々と親目線の話を聴いて思った。

「親の愛情」ってきっとめちゃめちゃでかいし、まだ親になれていない自分には想像もつかない。大人と子どもの境目は、きっとその辺りに有るんだろう。

親父元気にしてるかな。
まだ一回も飲みに行けてないや。
正月に会えれば誘ってみよう。

――――

お酒を通して良い夜、良い出逢いが繋がるのは本当に素敵だ。腹を割って、人生の先輩から話が聴けるのも素敵。

親父がよく御徒町の高架下に飲みに出掛けてたのもこういうことなんだろうな。

人が好き、と改めて思えた夜。

――――

二日酔いにはさっぱりしてて良いな。などとピノを口に放り込みながらの備忘録。味噌汁より効くかも。なんてね。

ほなまた。

(おわり)

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