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スキットルボトルのお父さん 2019/09/13

その間、実に1年と6ヶ月振り。
再会というものはいつだって突然に訪れる。

名駅一番線のホームベンチで、スキットルボトルを片手に飲んでるお父さんにはじめて出会ったのは2018年3月のこと。

ウイスキーですか?その携帯するやつ、カッコいいですね。これか?これはステンレスなんだけどね、錫の方がウイスキーには合うんだよ。スキットルボトルって言うんだ、覚えといてな。

そんな簡単なやり取りを交わしている間に電車がきて、お互い帰路に着いた。

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あれ、スキットルボトルのお父さんだ

2019年9月13日。
新しいカメラを買ってご機嫌な帰り道。
いつものホームベンチにふと目をやると、あれ、スキットルボトルのお父さんだ。

思わず声をかけた。
覚えてますか?以前ここでスキットルボトルの話をしたものです。

あぁ…うん。ピンときてないお父さん。
こりゃ覚えてないな。そりゃそうだ無理もない。
ひとしきり前回のやり取りを伝え、全くのはじめましてではないことを理解してもらう。

スキットルボトルの道具感が格好良いという話題から、その日購入してきたカメラの話題になり(今日買ってきたんです、可愛いでしょ!って自慢した。笑)、実はお父さんも写真を撮る、という話になり、気が付けば撮った写真を見せてもらうことに。

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ガチ勢だった

お父さん…
飛行機撮るって、そっちなんすね…

Canon EOS-1D Xに600mmの超望遠鏡レンズで戦闘機を撮るそうです。
毎年、三沢基地航空祭には前泊して撮りに行くんだって。
まじかよ…。青森までの往復はトータルで6~7万円くらいかかるから近場の海外旅行みたいな感覚だ、と仰っていました。

松島のブルーインパルスも撮りに行くそうで、それはそれはめちゃめちゃに格好いいアクロバット飛行の写真も拝見。

ちなみに上の写真はソニックブーム。いわゆる音速の壁。
こんな写真撮れるんか…

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飛行機は背中を撮ることに意味がある

「空を飛んでる飛行機の腹なんて上を見上げりゃ撮れるんだから、背中を撮らなかん。背中を撮ることに意味がある。」
お父さん…格好良すぎる…。こういう美学の積み重ねが趣味を尊いものにするんだよな。

聴けば定年が近く、ご家族の理解もあり自由にやらせて貰えているとのこと。航空祭は毎年日程が確実に決まっているから、そこだけは、という感じで説明もしやすいみたい。

趣味と家庭って意外と絡み合うことも多いけど、そこも含めて上手く立ち回ってみえる姿が格好良いなぁと、尊敬と憧れを抱く再会でした。

再会の翌々日には石川県の小松基地航空祭に撮りに行くとのことで、写真が出来たら飲みながら見せてもらう約束と、連絡先を交換して解散。

YouTubeで三沢航空祭を調べれば雰囲気がわかる、とのご教示も頂いたので、興味がある方は調べてみてください。
「F16戦闘機」「ソニックブーム」がキーワードだそう。

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スキットルボトルの中身は…

ずーっと気になっていたので別れ際にきいてみたら、ボトルの中身はウイスキーの水割りとのこと。ストレートだと濃いから。って。

ここは僕の偏見なんだけれど、ストレートじゃないのね、って。笑
でもそういう拍子抜け感がまたお父さんを愛おしくさせる訳です。
人間は話してみないとわからない。だから素晴らしい。

そんな、偶然の再会のお話。

また今度改めて飲みに行けると良いなぁと思いながら、ホームに滑り込む準急に吸い込まれ、ひとり寂しく帰路に着くところで再会は幕を閉じるのでありました。

(おわり)

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