自分に帰ってくる動詞?
Ich habe mich mit ihm getroffen.
Ils se sont déjà rencontrés.
上の2つの文には再帰動詞という動詞が使われている。それぞれドイツ語のsich treffenと、フランス語のse rencontrerである。
再帰動詞はロマンス語やドイツ語で広く使われている。英語にも再帰動詞は存在するが、その数は圧倒的に少ない。avail oneselfやpride oneselfは知っている人も多いだろう。
再帰動詞とは、wikiに書いてある通り動作主と被動者が同じである動詞である。目的語には与格dativeや対格accusativeをとる。再帰動詞の中でもいくつかの分類があるのだが、ここではその説明は省かせてもらう。
それでは、例をあげてみていこう。
フランス語でlaver「洗う」という動詞がある。
Je lave la vaisselle.
私は食器を洗う。
Je me lave.
私は体を洗う。
上の文では「食器」という直接目的語をとっているが、下の文では自分自身を表す代名詞meをとっている。この下の文のような用法が再帰動詞なのである。
すこし発展した用法も解説しよう。
Elle s'est lavé les mains.
彼女は手を洗った。
ここで気づいてほしいのは、目的語が2つある点だ。もちろん、意味から考えてles mainsが直接目的語である。彼女自身を表すseは直接目的語ではなく、les mainsの所有者であり動作の方向性を表しているに過ぎない間接目的語だ。故に、性数一致が起きずlavéeではなくlavéなのである。
それでは、
Elle a lavé ses mains.
と言えないのか。という疑問が生じるであろう。これは文法的には問題ないが、不自然であるとされる。なぜなのか私は知らないが、自然なフランス語を使うためにはたくさんのフランス語に接してフランス語感を鍛えるしかない。
ちなみに、同様のことがドイツ語にも言える。
Ich wasche die Wäsche.
Ich wasche mich.
Ich wasche mir die Hände.
異なる言語間でこのような相似点があるのは興味深い。
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