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THE LAST OF US PART2 感想まとめ

2013年の6月にラストオブアスが発売してから7年待ってやっと出た続編。
プレイし終わった後すぐに感想を書いています。まだ消化しきれてない部分もある中、物語が終わった後自分に残ったこのゲームへの感動を吐き出さなくてはいけない気がしているのでこのゲームを通してプレイヤーとして感じたことを本編になぞらえて書かせてください。

初めにあの世界の続きを描いてくれたノーティーに感謝しかないし物語には賛否両論あると思います。むしろ開発者はその両方を意図して狙ったのではないのかと思うほどでした、ただそのどちらの意見でもプレイし終わった後にえも言われぬ感情が沸き上がったのは確かだと思います。僕の感想ではこの言い表せない感情を自分なりに咀嚼して書こうと思うので決して万人が遊んだほうがいいゲームとも言いませんし、プレイするべきではないとも言いません、そこだけ知っておいてください。

ジョエルの死

 ゲーム序盤でまずエリーとプレイヤーを復讐に取りつかせる出来事としてエリーの目の前でジョエルがアビーたちに殺されます。エリーの復讐は前触れもなく始まる理不尽な暴力から始まります。前作を遊んだ方ならこの理不尽さこそラスアスと思う方もいるかもしれません、しかしあれほどの過酷な旅をしてきたジョエルがこんな序盤に、しかもこんな理不尽に死ぬことに喪失感や憤りを感じた人は少なくないと思います。ですが復讐を掲げて進んでいく物語には必要だった、そしてエリーとプレイヤーを復讐に取り込む動機を与えるためにも会えて序章にこのシーンを入れたのではないかと思います。実際僕はこの瞬間からこいつらを全員ぶっ殺すと、暗い憎悪みたいなものが溢れていました。
 アビーの復讐は世界を救おうとしてた父がジョエルによって殺された、さらには多くのファイアフライを殺したジョエルへの報復を目的としています。そのため罪のないエリー、トミーはその時彼女たちによって殺されませんでした。復讐としてはぬるい気もしますがこの殺さない選択こそパート2における復讐の裏で何度も訪れるもう一つのテーマ「赦し」に最後は帰結することを暗示していたのかもしれません。

エリー編

 エリーの復讐劇はシアトルでの三日間で行われます、初日では自分を蹴り上げてきたジョーダンに復讐を果たし、二日目には胞子を吸ってどのみち死ぬノラをなぶり殺しにするシーンがあります、ノラに復讐する際ムービーではなくプレイヤー自身の手でノラを惨殺していくのですがこの時くらいから前作で描かれた暴力と理不尽と今作のはかけ離れたものであることを徐々に、確実にプレイヤーに突き付けていきます。前作はこの世界での恐怖、暴力などは突然に、そして理不尽にプレイヤーを襲ってきましたが今作はこの理不尽な暴力を仕掛ける側に立たされます。この差に少しづつ違和感を覚えます。そしてこの違和感をかき乱すかのように、復讐に違和感を落としたにも関わらずそれを正当化できるようにエリー編ではジョエルとの記憶を回想するシーンがあります。
 回想シーンは全部で3つ、誕生日に博物館に行く思い出、前作ラストでのエリーに残ったもやもやが膨らむ記憶、ジョエルから真実を聞く記憶。博物館のシーンはまさに親子愛といった感じでゲーム人生の中でも大好きなシーンの一つになりました。。回想シーンで最も重要なのはジョエルが真実をエリーに話した後二人が疎遠になってしまったことです。命の価値が不平等であった前作のエリーは抗体を生かすことこそが彼女の存在意義であったと感じていたからこそ、その機会を生かすチャンスを奪ったジョエルが許せなかったのだと思います。
 三日目はメルとオーウェンにアビーの居場所を聞き出します。この時エリーがトミーと同じ拷問の手法を使うとこ、そして居場所を言えば生かすといったとこが印象的でした。おそらくエリー自身もこの時から自身の復讐に疑問を抱き始めていたのではないのでしょうか?結果として二人とも殺してしまい、さらにはメルのおなかの中にいる命まで奪ってしまい、罪の意識みたいなものに苛まれるシーンがありました。当初僕らプレーヤーも含めジョエル、死は今までのジョエル、エリーを知っているからこそ復讐に正当性を感じられていましたが、アビーの赦すという選択がどんどんエリーの復讐で避けては通れないものとして膨らんでいっている気がします。開発者がここまで考えていたとするならばやはりとんでもないゲームであることは間違いないです。

アビー編

 なぜジョエルを殺した張本人を触らなきゃいけないんだと多くの人が思ったでしょう。しかしこれにはしっかりとした意味があり、開発者の意図がちゃんとあるとプレイして感じました。前作は命が不平等であることが唯一抗体を持つエリーを通してわかります、しかし今作はエリーもほかのみんなと同じ命の価値で物語が進むため、エリー編でプレイヤーに落とし込んだ復讐の違和感をアビー編を通して広がっていきます。多くのプレイヤーは早くエリーを触りたいと思っていると思いますがおそらくその考えは製作者もわかっていたと思います。分かっていたけどアビー編をエリーと同じボリュームで描いたのにはエリー編で抱いた復讐の違和感を最大限広げるためアビーの背景を最大限掘り下げたんだと思います。
 アビー編においてのプレイヤーの感情移入は人によって捉え方が変わっていってる気がします。というのもジョエルの死後にプレイするので初めからキャラクターに共感することは難しいと思います、アビーの視点となって進めるのではなくあえて客観的視点から進めるように仕向けられてるのだと思います。客観視で物語が進むにあたってアビーという人物を復讐抜きで掘り下げると圧倒的主人公のポテンシャルをもった仲間思いのキャラクターということがわかります。ジョエルへの復讐をした後エリーとトミーを赦す決断や敵組織であったレヴとヤーラとの出会いからの話などまさに「嫌いだけど嫌いになれない」そんな言い表しが一番彼女に当てはまる気がします。
特にアビーらしさが出ているシーンは腕の折れたヤーラのために単身危険を冒して医療器具を取りに行くシーンだと思います。これは事実上WLFとの対立の瞬間でありこれから起こる出来事から守るべき人のために戦うことを決意しているかのようにも思えます。
 ここまでアビー編を紐解いていくとプレイヤー視点ではジョエルの死から100%の復讐の意思だけではなくほんの少し、後悔をプレイヤー側に与えたのだと思います。

シアトル三日目、エリーVSアビー

 今作での最も驚いたどんでん返し、まさかのプレイヤーはアビー操作。しかしここで多くの前作プレイヤーは直感で感じ取れるかもしれません。この戦闘の構図、まさしく前作エリーが戦ったデビット戦と重なります。そこで僕が感じてた違和感は一つの確信へと着地します。それは今作での悪、それは復讐に取りつかれたエリーでありジョエルを殺されたときに全員を一匹残らず殺そうとした赦しを理解していないプレイヤーたちであると思いました。お互いに大義がありお互いの正義があるとは思いますがアビーはその大義の下でも「赦す」選択を選びエリーとディーナを生かしてサンタバーバラへ向かいます。

サンタバーバラ編

 アビー戦の後おそらくPTSDのような特定の音や状況においてトラウマが勝手にフラッシュバックするような状態でトミーに復讐の話を持ち掛けられても今の平穏を維持したく一度は断ります、しかしエリーは復讐、というよりかは脳にこびりついたジョエルのトラウマを清算しにサンタバーバラへ向かったように見えました。

ラスト

 ラストシーン、エリーがなぜアビーを殺さなかったのか。ジョエルから真実を聞き疎遠になってはいたもののエリーはジョエルに「一生赦せない、でも赦そうと試みているんだ」と打ち明かしています。実はアビーはジョエルを殺したときからこの赦すという様々な環境が取り巻く厳しい世界で難しいことをはじめから実践してきてエリーはここで初めて赦す決断をし、自らの復讐、そしてジョエルとの別れをここで成し遂げたのだと思います。この時のアビーとレヴが1のエリーとジョエルが少し重なって見えてゲームの終わりにはアビーを完全に嫌う、憎むことはできないと実感しました。

本作の素晴らしいところ

 本作は前作のような多くのプレイヤーが望んだラストではなかったと思います。しかしながらそれ以上にこの世界で生きるキャラはまるでそこに存在しているかのような会話、表情、勢力間や人物間の背景が徹底的に作りこまれていたうえでのシナリオだったのでストーリー、音楽、景色。すべてが圧巻でした。小ネタも素晴らしく前作に一瞬しか出てないものや、WLF兵がホットラインをあそんでいたりと、実際の人をゲームを通して再現してるかのような、そんな現実感が追及されていたと思います。
 ちなみになんですがエリーの腕のタトゥー、ちゃんと意味があります。
腕には蛾が書かれています、蛾には嫉妬や誤解、好奇心の意味があります。そして蛾は再生とやり直しの象徴でもあります。本編のエリーと重なるシーンが多いのも素晴らしいと思います。
 あくまで素晴らしかったとこに絞ると決して良かったとは言い切れませんが復讐をテーマに回るこの物語はハッピーエンドでもなければバットエンドでもありません。物語全体を通してノーティーがプレイヤーを容赦なくラストオブアスの世界、その狂気に放り込んできます、実際のキャラと同じように感情の置き場に困るでしょう。しかしその過酷な世界でも復讐と赦しをもってしてエリーが成長する姿はジョエルに感情移入してたぶん、ラストは言い終わり方をしたと思います。


最後に

 何とか言葉にしてみましたがなんとこの文4000字を超えてしまいます。
事前に復讐がテーマと言われている以上救いのない、残酷にこの世界に引き込まれていくのは覚悟してました。でもプレイ後に残った感動があるとしたらこのゲームにはちゃんとした意味があると思います。1は何より家族愛が尊くもっとも記憶に残ったゲームであることは間違いありません。そして2はどこまでも残酷に凄惨に進んでいく衝撃が何よりも感情を揺さぶられ記憶に残る、というよりは刻まれたのは間違いないです。

 人生を通してラストオブアスは2作とも僕の心にしっかりと感動を与えてくれたと思います。




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