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ありがとね。

気持ちの整理のために記しておきたい。

支離滅裂になってしまうかもしれないが、ありのままの感情を残しておきたかった。

12月8日水曜日

7年間一緒に過ごした女の子のうさぎが亡くなった。

うさぎの平均寿命が8〜9年程度と言われる中、

11年も生きてくれた。

亡くなる前日の夜にはもう、明らかに動きがおかしく、

朝は迎えられないかもしれないと思った。

翌日の朝一でケージを覗くと、

横たわったまま今にも命が尽きようとしていた。

きっと、朝まで待っててくれたんだね。

妻が体を撫で始めると、心臓が止まった。



結婚をする前から妻が実家で飼っていた子だった。

結婚を機に、今の家に連れてきて一緒に住むようになった。

妻はもちろん、自分もとても可愛がっていた。

臆病なくせにたまにケージから脱走したり、

エサが欲しいと足下をかけずり回ったり、

大好きな野菜を口いっぱいにつめこんだり、

撫でろとばかりに頭を差し出してきたり。

割と懐いていたように思う。

自分が一緒にいられたのは結婚してからの7年だったけど、

情が移るには十分すぎる年月だった。



11月下旬のある日。

明らかに元気が無いのが一目見て分かった。

妻は年齢的にも体力が落ちて来てるんでしょと言ったが、

自分にはそれだけではないように思えた。

試しに大好きな野菜をあげてみたが、ほとんど口をつけなかった。

やはりおかしいと妻に言うと、そんなに言うなら動物病院に連れて行ってみたらと言われた。

翌日、近所の動物病院に連れていった。

エコーを撮る先生の顔が険しかった。

「お腹の辺りに2cmくらいの腫瘍があります。おそらくそれがとても痛いんだと思います。」

予想はしていたが、いざ言われると気持ちの整理がつかなかった。

「手術で腫瘍を取ることは出来ますが、11歳となると体力的に手術に耐えられない可能性が高いです。薬で痛みを緩和させてあげながら、寿命を迎えさせてあげることをおすすめします。」

自分もそれが一番いいと思った。

薬を貰って帰ってきて、仕事から帰って来た妻にありのままを伝えた。

妻も無理に手術するよりその方がいいと言ったので、薬を飲ませることにした。

薬を飲むことをとても嫌がったが、心を鬼にして飲ませた。

薬を飲ませた日は、少しだけ食欲が回復したように見えた。

少し安心したが、気休めでしかなかった。


12月に入り、一気に病状は悪化したように見えた。

動きもよろよろし始め、水やエサにもほとんど手をつけなくなった。

お迎えは近いと感じていたので、

覚悟だけは決めていたつもりだった。

見るからに苦しそうな顔をしていたので、

それを見るのがなにより辛かった。


そして12月8日の朝、静かに息を引き取った。


当日の夜に火葬車が来る手配をした。

平日だったので仕事に行かなければならず、

忙しかったので感傷に浸る時間があまりなかったのは救いだった。

それでも仕事を早く切り上げ、早く帰ってあげたかった。

もう動かないのは分かっていたが、

火葬までの少しの間だけでも一緒にいてあげたいと思った。

家に着いた瞬間に、涙が溢れ出て来た。

自分の目からこんなに涙が出るのかと思うほどだった。

思い出に浸りながら体を撫でてやった。

ほどなくして、ペット葬儀の業者さんがやって来た。

カゴに好きだったペレットや牧草を入れてあげた。

「最後ですので撫でてあげて下さい」と言われ、

玄関口で妻と一緒に頭を撫でてやった。

涙が止められなかった。

子供がいない自分達夫婦にとっては、本当に家族だった。


牧草をポリポリと食べる音ももう聞こえないよ。

休みの日に陽だまりで眠る姿を見ることももう出来ないんだね。

嫌がってたのに薬飲ませてごめんな。

苦しかっただろうに一生懸命生きてくれて偉かったね。

一緒に暮らした7年間、とても楽しかったよ。

ありがとね。

もし生まれ変わったら、またうちにおいで。

うんと可愛がってあげるよ。

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