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仲山伸也ガクチョメモ

『ヒトデはクモよりなぜ強い 21世紀はリーダーなき組織が勝つ』読書メモ


2015年8月14日 15:43

面白すぎたので、メモしておきます!

【ヒトデ(分権型組織)とクモ(中央集権型組織)の見分け方】→あてはまるとクモ


(1)トップに責任者がいるか

(2)本部があるか

(3)頭を切ったら死ぬか

(4)明確な役割分担があるか

(5)組織の一部を破壊したら、全体も損害を被るか

(6)知識と権限が集中しているか

(7)組織にはしっかりした構造があるか

(8)従業員や参加者の数がわかるか

(9)本部が部門の資金調達をするか

(10)各部門が仲介者(本部)を通して連絡をとるか

【分権(ヒトデ型組織)の法則】


(1)(ボスがいない)分権型の組織が攻撃を受けると、それまで以上に開かれた状態になり、権限をそれまで以上に分散させる。

(2)(中央集権のクモ型組織にいる人にとっては)ヒトデ型組織を見てもクモ型組織だと勘違いしやすい。

(3)分権型の組織では情報が一カ所に集中せず、組織内のあらゆる場所に散らばっている。

   最高の知識や情報は、組織の端のほうに存在することが多い。

(4)分権型の組織は、新しい脅威や必要に応じて自らを素早く変化させることができる。

(5)分権型組織は、誰も気づかないうちにそっと背後から忍び寄る性質がある。あまりに速いスピードで成長する可能性がある。

(6)業界内で権力が分散すると、全体の利益が減少する。ヒトデ型組織を導入するのは、利益をあきらめるのに等しい。


(7)分権型組織に招かれた人たちは、自動的に、その組織の役に立つことをしたがる。

(8)中央集権型組織は、攻撃されると権限をさらに集中させる傾向がある。

【アコーディオンの法則】

 長い年月をかけて、産業界は、分権型から集中型に姿を変え、また、分権型に戻るということを繰り返す。

 権限が一点に集中しすぎた業界や団体では、人々が反発して、開かれたヒトデ型の組織に変えようとする。

 権限分散の極端な例では、とてもゆるやかな人々の集まりが驚くほどの力を持つことがある。

【触媒 vs CEO】


 触媒とCEOは、ともに指導者なのだが、両者の使う道具はまったく違う。

 CEOはボスであり、責任者として、ヒエラルキーのトップに君臨する。

 触媒は、周囲の人々と同等の立場にいる。触媒は友だちのようなものだ。

 CEOはピラミッド型組織のトップなので、指揮管理型の経営スタイルを取る。

 一方、触媒は信頼関係に頼る。

 CEOの仕事は株主の利益を上げることであり、合理的でなくてはならない。

 触媒の仕事は個人的な関係をつくることなので、感情的知性を重んじる。

 組織の舵を取るCEOは権力を持ち、命令を出す立場にある。

 触媒は人にインスピレーションを与え、協力する立場にある。

 触媒はイデオロギーを語り、そのイデオロギーを実現するためにともに働こうと人々に呼びかける。

 権力のあるCEOはスポットライトの当たる地位にいる。

 触媒は、自分に注目が集まらないようにし、舞台裏での仕事を好む。

 CEOは命令を出し、秩序を守らせるが、

 触媒はあいまいで混迷した状況でこそ成功する。

 CEOの仕事は、最大限の利益を生み出すことだが、

 触媒は普通、使命感を大事にする。

 しかし、触媒がCEOとは違うからといって、企業内に居場所がないというわけではない。トップダウン式のヒエラルキーやはっきりとした構造があると、触媒は抑圧を感じるかもしれないが、状況によっては、触媒にぴったりという場合もある。新製品を宣伝する革新的な方法を考えたいとか、新しい市場に参入するとか、会社に関連するコミュニティを作りたいとか、従業員同士の関係を改善したいという場合は、触媒的な人物を連れてくるといい。


(中略)

 こういうリーダーシップが、あらゆる状況に向くとはいえない。触媒は波風を立てる存在だ。触媒は変化を生み出すことに長けているが、伝統を守るのには向かない。触媒がうまく働くのは、急激な変化と創造的な考え方が必要な場合だ。彼らは革新をもたらすが、同時に、ある程度の混乱とあいまいさを持ち込む。きっちりした構造のある環境では、彼らは窒息しかねない。しかし夢を見させれば、きっと成功する。

【CEO】     【触媒】

 ボス       仲間

 命令管理     信頼

 合理的      感情的知性が豊か

 権力を持つ    インスピレーションを与える

 命令的      共同作業的

 注目を集める   水面下で動く

 秩序       あいまい

 組織する     つながりを作る

【分権型組織と戦って、勝つ方法】(牛型アプローチ)

 アパッチ族がアメリカ南西部を支配していたころ、スペイン人が彼らを制圧しようとしたがうまくいかず、その後、同様の試みをしたメキシコ人も失敗した。アメリカ人が現地の支配権を手に入れたときも、アパッチ族は支配できなかった。実際、アパッチ族は、20世紀に入っても重大な脅威だったのだが、それから風向きが一変する。最終的にはアメリカ人が勝った。文化人類学者のトム・ネビンズが、非常に単純な方策が多大な効果をもたらしたことを説明してくれたとき、筆者たちは驚きのあまり声もなかった。

 ネビンズが話してくれたのはこういう物語だった。「アパッチ族は、1914年までずっと脅威だった。20世紀の初めにはまだホワイト・マウンテンの居留地に駐留していた」。なぜアパッチ族を打ち負かすのがそれほど難しかったのだろうか。それは、ナンタンの存在のせいだった。「人々は、その行動やふるまいを見て、最も有能なリーダーだと思う人物をナンタンとして支持した。新しいナンタンが決まるのには時間もあまりかからない」。次々に新しいナンタンが出てくると、アメリカ人はようやく方針を転換する。「アパッチ族を支配するには、彼らの最も基本的な部分を攻撃しなくてはならないと気がついた」。(中略)

 アメリカ人は、アパッチ族のナンタンたちに畜牛を与えて、その社会を壊したのである。簡単なことだった。いったん、ナンタンが牛という貴重な資源を手にすると、それまでシンボル的なものだった彼らの権力が、物質的なものへと変化した。以前は、ナンタンは自らの行動で人々の規範となっていたのに、牛を手にしてからは、物質的な資源を分け与えたり、与えなかったりすることで、アパッチ族の人々に報いたり、罰したりするようになった。

 すべてを変えたのは牛だった。権威的な力を持つようになると、ナンタンたちは、創設されたアパッチ族内部の議会の議席を争うようになった。アパッチ族の人々も、より多くの資源を要求するようになり、思い通りに分配されないと気を悪くした。かつてはフラットだった権力構造が、トップに力が集中するヒエラルキーになったのだ。それがアパッチの社会を崩壊させた。ネビンズはこう語る。「今ではアパッチ族も中央集権的な政府をもっている。でも僕は、個人的に、彼らにとって災難だと思うよ。種族の間で、資源をめぐってゼロサム的な戦いが起きてしまっているからね」。厳格な権力構造が生まれた結果、アパッチ族は、アステカ民族のようにアメリカ人の支配下に置かれることになったのだ。

【ハイブリッドな組織】

 イーベイはユーザー同士が直接売買のやり取りをするのを可能にし、分権型のユーザー評価システムに頼っているが、会社そのものはヒトデ型組織ではない。

 これまで本書では、権限が分散しているヒトデ型組織か、もしくは中央に集中しているクモ型組織という、両極端な例を見てきた。イーベイは、その両方を兼ね備えたハイブリッドである。分権型組織のボトムアップ的なアプローチと、権限集中型企業の構造や管理方法をあわせ持ち、そして利益も期待できるという、いいとこどりなのだ。ハイブリッド型組織には2種類あり、イーベイは、そのうちの、顧客経験価値を分散させた中央集権型の企業である。

【ヒトデ型組織の観察方法】

 分権型ネットワークを測定するには、正確に間違うより曖昧に正しいほうがいい。もし可能だとしても、ネットワークの会員数を正確に知ることには、あまり意味がない。重要なのは、組織内のサークルを調べることだ。各サークルがどれぐらい活発に活動しているか、ネットワークがどれだけ分散しているか、サークルは自立しているか、サークル同士の関係はどうか、ということだ。

 同様に、ヒトデ型組織を観察するには、こういうことを調べるといい。サークルはいい状態か、メンバーは参加を続けているか、ネットワークは拡大しているか、広がっているか、変化しているか、さらに分権が進んでいるか、それとも、権限が集中する傾向にあるか?

 触媒のほとんどは、こうした質問の答えを直感的に知っている。彼らはメンバーのことを気にかけてはいるが、メンバーから報告を受けようとは思わないし、管理したいと思ってもいない。分権化したネットワークを仕切るには、建築家、チアリーダー、かしこまったオブザーバーの素質が必要だ。ヒトデ型組織では、人はやりたいことをやりたいようにやる。触媒は、人々を結びつけ、イデオロギーを宣伝し続けて本領を発揮する。

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