「シンギュラリティ」を疑う     ーさいたま市立大宮国際中等教育学校2021ー

身近にある仕事、全てを機械がやってくれるように「本当に」なると思うか、と問い掛けられているような問題です。

多くの人はこの質問に、「全て・・・、な訳ないよな。」というのが実感ではないでしょうか。足元に落ちているちっちゃなゴミを拾うこと、ちょっとハサミで切るだけのこと・・・など
やろうと思った瞬間に人間がすぐにできることを、どこまでを任せるでしょうか。
少しイメージを膨らませれば、違和感を持つはずです。
その「違和感」を忘れていませんか、と問うてきている感じがします。

この課題文(森川幸人著「イラストで読むAI入門」)では、
「シンギュラリティ」の話を、

 「機械が職を奪う」というのも、産業革命の蒸気機関の発明以来、何度も繰り返されてきた

と紹介しています。このようにして、昨今のAIによって仕事が奪われるという「シンギュラリティ」の話に疑問を呈しています。
また、なぜ同じような発想が、「産業革命」の時に起きたのか、と推測しているのも面白い点です。その答として、日本とは違い、西洋の場合、決められた仕事だけをしてきたという事情を紹介してくれています。この辺は明らかに日本社会とは異なります。日本社会の場合、いろんな職を経験させる中で、会社に貢献できる人を育てようとしてきました。


この出題に個人的に、非常に好感を持ちました。なぜなら、全てを信じるのではなく、果たして細かい仕事までAIが出来るのか(そうさせるまで莫大なコストがかかる)、という疑問を持つとそうではないだろうと予測は付くよね、と言っている感じがするからです。
全てを鵜呑みにせずに、一旦立ち止まって考えることの重要性を伝えようとしているのではないでしょうか。


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