見出し画像

営業と医師のやってること大体同じ説

こんにちは。
株式会社iCARE というスタートアップで、セールスマネージャーを務めている梅田翔五と申します。

本記事は「営業アドベントカレンダー2021」企画の投稿になります。

ということで、今日は『なぜヒヤリング・課題特定が重要なのか』という話を書いてみたいと思います。


自己紹介

まずは簡単に自己紹介いたします。
何者かわからない人間の持論を読むのは辛いと思うので。

梅田翔五
35歳で現在4社目
以下の業界で、一貫して営業職を務めてきました。
1社目 製薬
2社目 イベント制作
3社目 人材紹介
4社目 SaaS

自分で語ると大変おこがましいですが、4社全てで営業成績は上位に位置し、表彰などの機会も各社でいただきました。
また、直近2社ではセールスマネージャーに従事しています。

属する業界を複数回変えてきたので、キャリア的には一貫性に欠けるように見えると思いますが、以下の営業を全てやったことがあるというのは、自身の価値かなと最近感じている次第です。

toC・toB(SMB、Enterprise)・to医療機関
新規・既存
インバウンド・アウトバウンド
高単価・低単価
有形・無形
大手・スタートアップ


誰に読んで欲しいのか

これから営業を始める方や、営業歴がまだ浅い方。
そして営業成績に伸び悩んでいる方。
そんな皆さんに読んでいただきたいと考えております。

内容が納得のいくものだったら、社内で共有してもらえたりすると嬉しいです。


何を書くのか

営業現場では当たり前のように
『ヒヤリングしろ』
『顧客の課題を明確にしろ』
という言葉が飛び交ってますよね。

ですが、なぜヒヤリングが必要なんだっけ、なぜ課題を明確にする必要があるんだっけという根本の部分が理解されていないケース、実は多いなぁと最近思うわけです。

なんとなくヒヤリングが重要なのはわかるし、課題は明確にした方がいいのはわかるけど・・・
でも「なぜ?」と問われたら、うまく言葉にできない若手営業って多いのではないか。

営業とはこういうものだと商談の型だけを教えられていたり、OJTで見た先輩の商談を何となく見様見真似でやっていたりしません?

こういった形だけ営業っぽい活動はなかなか成果につながらないと僕は考えているので、今日は『なぜヒヤリング・課題特定が重要なのか』をなるべく簡単に理解してもらえるような文章を書いてみます。


営業と医師って、実はやってること同じでは?

いきなり突拍子もないことを書くんですが、
営業と医師のやってること、実は類似点が多いなぁと。
僕はそう思いながら日々営業活動をしています。

具体的に照らし合わせて書いてみると、イメージこんな感じ。

体に不調をきたした患者さんが来院
=商談設定

診察・診断
=ヒヤリング・課題特定

治療(薬の処方や手術)
=商品・サービスの提供

① 何か問題・課題を抱えた人がいる
② その人の問題・課題を特定する
③ 問題・課題の解決策を提供する

この流れが同じじゃないかと、まずはそんなことを言いたいわけです。

※問題と課題って違うだろみたいな話もあると思いますが、ここではその区分は重要ではないので、一旦まとめさせてください。


『誤診』の恐ろしさ

今日のテーマは『なぜヒヤリング・課題特定が重要なのか』であり、つまり医療で言うと診察・診断の部分の話です。

病院の診察では自分の症状を伝え、そこから聴診器を当てられたり、痛む部位を押されたり、口の中をのぞき込まれたりしますよね。
場合によっては血液検査を受けたり、レントゲンなどの画像検査を受けたり。

そして診察後に病気や怪我を特定する。これが診断です。
あなたは糖尿病ですとか、あなたは骨折してますとか。

この診断を誤ることを『誤診』と言いますね。
病気の種類を間違えたり、怪我を見逃したりすることです。

誤診は、飲まなくて良い医薬品を処方してしまったり、やらなくて良い手術をしてしまうなんて医療事故の元になりえます。
最悪の場合、死人が出るなんてこともありえるので医療において誤診というのは、1件でも起きてはいけない。
これは周知の事実であり、皆さんも同意されるのではないでしょうか。

逆に言うと、診察・診断が正しければ、その後の治療はある程度妥当性が高いものが選択されることに繋がります。
難病などではない限り、今の時代はある程度科学的に確立された治療がたくさんありますしね。

医療は、治療に目を向けられることが多いですが、それは医師による正しい診察・診断がある前提なのです。医師ってすごい。


『誤診』しまくってる営業の世界

医療において誤診は1件でも許されない行為なのに対し、営業の世界はどうでしょうか。

 診察・診断 = ヒヤリング・課題特定 】と先ほど書きましたが、以下のような営業活動が散見されませんか。

・ヒヤリングもろくにせず、そもそもお客さんの課題が何かを考えもしないまま商品紹介を始める営業

・お客さんの課題を理解できるほどの知識が、そもそも足りない営業

悲しいことに、上記のような営業がザラにいます。
もはやマジョリティと言えるかもしれません。

これらは医療で言えば、全て『誤診』とも言える営業活動であり、当然それに付随して提案する商品・サービスも適したものになっていないケースが多いです。

自分には一切関係のない病気と診断されて、飲まなくていい薬を勧められてると考えたらゾッとしませんか。

適していない商品・サービスをご購入いただくのは、医療においてはもはや医療事故と言っても過言ではなく、当然ながらお客さんがサクセスしない場合も多くなります。
(間違った提案だったけど結果としてお客さんが満足する場合もあります。ただサクセスする確率は断然低くなるという話です)

というかヒヤリング・課題特定が誤っていると、提案が論理的に成立しなくなります。
そうなると買ってもらえること自体が稀になり、その結果、受注率の低さを補填するために行動量のみに頼る営業活動に行き着く。
そして徐々にその営業は疲弊していき最後は退職へ、というのがよくあるパターンです。

世の中の営業のイメージが悪いのは、上記のような営業活動が蔓延してるからではないかとも僕は思っています。

逆に言えば、世の営業をもっと人気職種にしていくためには
【ヒヤリング・課題特定】の精度の向上が鍵なのではないかと。

ただの私見なので、異論は受け付けますがw


患者さんの言うことは間違っていることが多い

この話の流れでもう1つ触れたい点があります。

これは僕の友人の実話なのですが、
彼はある日、朝起きたら足が痛すぎて立ち上がれなかったそうです。

(足の骨が折れてる・・)
直感的にそう思ったそうで、すぐに病院へ。

しかし、病院で画像検査をしても異常なし。
そのまま帰されそうになったため「絶対に何かおかしいからもっと検査をしてくれ」と訴える彼。

そこで血液検査を行ったところ、尿酸値がめちゃくちゃ高かったと。
つまり、痛風を発症していたんですね。
それがまるで骨が折れているような痛みだったわけです。
(B社 Mさん)

診察:
画像検査は異常なし。血液検査で尿酸値が高いことが判明。

診断:
痛風

治療:
薬物治療

この話で何を伝えたいかと言うと、
患者さんは自分の痛みを訴えることはできるが、診断や治療の具体的内容に関しては、誤ったことを口にしているケースが多いということです。

「足の骨が折れている」と彼の言葉を医師が鵜呑みにしてギプスをはめ、痛み止めを処方していたらどうなっていたでしょうか。

痛み止めのおかげで一時的には痛みが和らぎますが、痛風は決して良くなりませんし、治療が遅れ悪化していく可能性もあります。
医療費も無駄だし、本人にとっては踏んだり蹴ったりの状況です。


お客さんの声をただ鵜呑みにすることが、課題特定ではない

先ほどの話は、そのまま営業に適用できます。

お客さんは何が辛いのか、何に腹を立てているのか、何が苦しいのか、何を渇望しているのか
こういった言葉に耳を傾け、感情に寄り添うことは重要であり、課題特定の手がかりにする必要があります。

ただ、お客さんが語る「こうしたい」「これが欲しい」「こうあるべき」は、決して鵜呑みにはしてはいけません。
先ほどの僕の友人のように間違ったことを語っている可能性が多くあります。

お客さんの言葉を鵜呑みにする営業の提案はお客さんに寄り添い、お客さんのことを真剣に考えているのに、受注はあんまりできないし解約率が高かったりするという辛い営業活動になりがち。
全ては課題特定が正しくできていないことが根本の原因です。

「ヒヤリングを頑張って、お客さんの課題を見つけよう」と意気込む若手が最初にハマるトラップがこれなので、本当に肝に銘じて欲しいなぁと。


課題を特定するにはどうしたら良いのか

ここは営業の永遠のテーマであり、すごく難しい部分なので僕も自信満々には語れないというのが本音ですが、客観的事実と主観的事実を組み合わせ、妥当性が高い仮説を立てることが重要だと考えます。

例えば、法人営業なら以下のように切り分けるられるかなと。

客観的事実:
・会社HPから得られる情報
・IR
・中期経営計画
・業界動向

主観的事実:
・顧客内の各ステークホルダーが口にする情報
・代理店の営業など、顧客以外が口にする顧客の情報

まあここに関しては今日の主テーマではないのであまり深くは触れませんが、直接耳にした情報だけで仮説を組み立てるというのは、あまりに浅はかということを言いたいわけです。


お断りするのも営業だと思う

『ヒヤリングをしっかりして、客観的事実も集めて、限りなく本質に近い課題を特定しよう』
これが僕の言いたいことですが、これを体現しようとすると自社サービスや自社商品がマッチしないお客さんが当然現れます。

(あれ?この会社にうちの商品必要ないな・・・)
自分の中であらゆる情報を整理した結果、そう思ったのならすぐにお断りをしましょう。

僕の知る限りですが、数字の悪い営業ほど目の前のお客さん全員に、全力で売ろうとします。
これは医師の話に戻すのであれば、しっかり診察・診断をしないで全員に同じ薬を飲ませようとする行為に近いです。完全にヤブ医者ですね。


提案力というのは、喋る力だけを指すのではない

そろそろ話をまとめます。

よく営業の間では、提案力というワードが使われます。
この提案力というのは具体的に何なのか。

一般的に、提案力というのはシャベリの上手さを想像されていることが多いように思います。自社商品の魅力を理路整然と語る力というか。
僕はこのイメージは間違っていると考えます。

医師の活動が正しく診察・診断を行い、それに適した治療をすることならば、営業は正しくヒヤリング・課題特定を行い、その課題に適したソリューションを伝えることが本質ではないか。

この下記の流れの総称が提案力なのではないかと。
ここの論理がどれだけ成立するかが営業の本質じゃないでしょうか。

診察・診断
=ヒヤリング・課題特定

治療(薬の処方や手術)
=商品・サービスの提供


まとめ

『なぜヒヤリング・課題特定が重要なのか』をテーマに今日は書いてみました。

結論としては、それが正しい価値提供につながるからであり、それが営業活動の本質であり、それが営業として幸せになる1番の近道だからです。

お客さんの課題を正しく特定し、適した商品を紹介していくと、数字は後からついてくるのではないでしょうか。

僕達営業は特定分野のプロとして、お客さんよりもお客さんのことを理解した上で良い方向に導く、まるで医師のような存在であるべきだなと。

うーん、言いたいこと伝わったかなこれw

本日はここまで!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!


Twitterもフォローいただけると嬉しいです!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?