刑部家の相續

一人つ子42歳ワイ、パッパの死後二人の姉がゐる事を告白されるの卷

※この記事はFanboxで2024年7月24日に掲載されたものの轉載です

7月23日　日報｜刑部しきみ｜pixivFANBOX

　此處に來て頭の痛い問題が、私に伏せられてゐた。何うやら、私には10歳以上歳の離れた二人の姉がゐるらしい。知らんぞそんな話。銀行で親父の遺産の相續の話が出たんだけど、「殘されたお子樣は何人ですか」といふ銀行員に、母が「三人です」と答へた。

　最初なにかの間違ひかと思つた。それはさうだらう、刑部しきみは刑部家の長男ヒロシ（假）の一人つ子だとずつと思はされて來たんだもの。オレのアイデンティティが揺らぐぞコラ。思はず私も「知らんぞそんな話」と口を出してしまつた。

　死んでも默つてゐた親父もだし親父が死んでも云はなかつた母もだが、何うやら私以外の親戚は全員大人なので、普通に知つてゐた事らしく、これがますます腹が立つ。戸籍謄本を取り寄せた時に「そんな形跡は何もなかつた」ので、單純に親父が認知してない可能性も高い。それもまた胸糞惡い話だ。

　怒つて何うなるといふ話でもないので、母に何か云ふのも筋違ひだらうし、顏も名前も知らん二人の姉を探して相續の話をしなければならないのも正直氣が重い。母が相續の事を私に話したがらなかつたし、何だか氣が重さうにしてゐたのはかういふ事だつたのかと思ふと、あー、ますます苛ついてくる。明日の精神科でカウンセリングあるし、カウンセラー氏に話すか。

　以下は投錢くれた方へのお禮文章なので、この記事自體は此處で終はりです。續報は、評判が良ければ……ではまた。