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国鉄改革のあゆみ 8

昭和61年は、国鉄改革の最終年として組合は組織の生き残りをかけたいましたが、国鉄では初めての試みとして、職員の賞与について査定を行うこととなりました。

この方式は、後年郵政にも導入されましたが、査定自体に不透明な部分があり、そういった点では問題が多かった制度では無かったかと思います。

さて、当時の公企労レポートから引用してみますと。

国鉄は分割民営化を控え、この程、夏・冬の期末手当支給の際、民間企業並に職員の勤務成績、出勤状況を査定して支払う制度を初めて導入するとし、国労・動労・鉄労・全施労・真国労などの各組合に提案した。

となっており、国労から分離したメンバー【国労内革マル系】が真国労を結成、労使協調宣言を当局と締結しています。

この制度は、これまでの悪平等を是正し、信賞必罰を適時適切に反映させることで、事業運営の活性化に役立てようというもので動労など共同宣言の4組合は肯定的であったが、国労は以下のように回答し、導入には反対の意向を示したため、国労をさらに窮地に追い込むこととなりました。

国労の見解、以下は公企業レポートから

「今職場では雇用の確保と選別が最大の感心事で、提案は選別の不安をよりかきたてる。この時期に夏季手当まで信賞必罰の体制を導入するのは反対だ、まさに選別である。」としている。

また、管理者についても同様の査定を導入するとしており、査定内容は一般職よりもさらに厳しいものとなる。
国鉄当局では、この制度導入によりこれまで八次に渡って実施した職場総点検の総仕上げと位置づけている。

参考

 第一次労使協調宣言

 昭和六一年は国鉄改革が国民課題となる重要な年だが、なかでも余剰人員間題の解決は今年度の最大のテーマとなる。これは同時に、職員一人ひとりの生活の場を確保するという問題でもある。回鉄改革にあたり、まじめに働く意思のある職員が生活の基盤を失うことがあってはならないという点について、労使の認識は全く共通である。十分な雇用の場を確保するためには、労使一致した雇用確保の努力に加えて、政府・一般産業界の積極的な支援が不可欠であリ、これは経営全般にわたる労使の自助努力に対する国民各層の信頼と共感を得て初めて可能になるものでおる。このような共通認識に立ち、雇用安定の基盤を守るという立場から、国鉄改革が成し遂げられるまでの間、労使は以下の項目について一致協力して取り組むことを宣言する。
 労使はその立場をこえて、以下の課題について最善の努力をつくす。
(1)安定輪送の確保、安全輸送の推持が国鉄労使に対する国民の信頼の基盤であリ、労使は緒法規を追遵守し、全力をあげてこれを実現する。
(2)一人ひとりのお客様に明るく笑顔で誠意のこもった対応をしていくことが輸送サービスに従事する者としての基本であり、そのためには、まず第一にリポン・ワッペンの不着用、氏名札の着用等定められた服装を整え、お客様に不快感を与えない、折り目正しいサービスの提供に努めることとする。
(3)飲酒・酒気帯ぴ勤務、点呼妨害等企業人としてのモラルにもとる行為の根絶に努める。
鉄道事業の再生を図るに不可欠なことは、康しい競争場裏において将来を展望し得る企業体質を作ることであり、そのために必要な合理化は労使が一致協力して積極的に推進し、新しい事業経営の体制を確立することとする。
余剰人員対策について労使は決の点に具体的に取り組むこととする。

(1)派遺制度等を積極的に推進する。
(2)従来の特退協定に基づいて、退職勧奨を積極的に推進する。
(3)新たな希望退職制度の法的な措置がなされたのちには労使はその円滑な運用により目標の逮成に向けて積極的に取り組む。
(4)職員の将来の雇用の場の確保・拡充について労使が一致協力する。
4上記の事柄を積極的に推道していくために「再建問題等懇談会」等労使間のルールに則った話し合いの場を従来にも増して活性化し、活用していくこととする。

と言った内容でした。

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