そして九月が始まって

長い長い雨のあと
八月は燦々と日差しを受け
特別な夏と言われて
人々は家の中に閉じ籠る
花火も祭りも浴衣もなくて
また来年と去っていった
窓越しに見かけるいつもの風景は
庭の置かれたビニールプール
子供達の声が響く短い夏休み
少しでも楽しませようと
大人達は奔走した

何かを探す毎日は今日も続く
突然の電話は心をかきみだし
四拍子の生活が変拍子に変わり
転調されたわたしの心
小指の先ほどの傷なのに
棘が残った痛みが続く