見出し画像

六月とマスクの君は

ぼんやりと六月の月
湿り気を帯びてじっとこちらを眺めている
柔らかな光は
自分に相応しいのか……
日に日に暑くなる昼
静めるように夜の風は涼やかに
むっしりとした一日を振り返る

アルコールの臭いの部屋
すれ違うマスクの顔は知らんぷり
目を合わせないように
ただ前を見る
話すことが良くないのだから
なにも言わずにスルー

おはようもお疲れさまも
さようならも
何時もより小さく
よそよそしく
一歩下がってお先にどうぞ
後ろ姿の君
マスクの中はきっと笑顔で