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最恐100Thievesのバインドの攻防、セットについて

こんにちはLihgtN1ngと申します。今回はMasters Shanghaiに出場したアメリカのチーム100Thievs(以下100T)のバインドの攻め方、守り方、その際に行われたスキル合わせのセットについて紹介していきます。FUT E-sportsとの一戦の2マップ目に出されましたがとにかく100Tの一方的な蹂躙が目立つ試合となりました。そこで100Tは何が強いのか紹介していきたいと思います


・100Tの防衛の基本

100Tの守り方は以下の通りです。

Aブリムストーン、レイズ、フェイド Bゲッコー、ヴァイパー

 100Tの守りは基本的に画像のようになっていて、2イニシエーター、2コントローラーの強みを活かして、それぞれ複数いる役職のエージェントを別サイトに置く配置です。これによりスモークが遅れることや、索敵のガバを少しでも無くすことができます。しかしノーセンチネル構成であるため、裏見やラークなどに気を配る必要があります。この配置は4ラウンド目と8ラウンド目以降の防衛で使われた配置ではありますが、1~3ラウンド、5~7ラウンドでは配置を少しだけ変えています。フェイドとゲッコーを入れ替えたり、レイズをフッカーに置いたり、はたまたイニシエーター2人をAに置いてレイズをBに置いたりと、多岐にわたって配置を少し変えているのが印象的でした。そのため”基本的な守り”という定義を作ることが難しく筆者の中で、防衛を通して最も使用された配置を基本的な配置として紹介することにしました。
 この配置を少しだけ変えるという狙いは、相手のサイトにいる人数の特定を鈍らせることにあるのではないかと思います。このバインドというマップは他のマップと違ってMIDと呼ばれるところがありません。そのため2:3配置がオーソドックスな人数比率となります。攻め側からすれば人数が少ないほうに攻め込めれば常に人数有利で戦えますし、センチネルがいない分サイト制圧が簡易的であると考えます。ラウンドを重ねていけば、相手がどのサイトにどのような人数比を割いているのかが分かってきます。なのでこのエージェントがいるということはこのサイトは人数が少ない可能性がある。という予測を立てることが可能になります。そのため配置を常に変えられてしまうと、どちらのサイトが少ないのか特定が難しくなるだけでなく、飛んでくるスキルも違うため、攻め側の対策が難しくなります。この配置を常に変える戦法は見たことがなかった為、驚きました。

100Tの華麗すぎるスキル合わせ(DEF編)

100Tの防衛でとにかく強かったのは、スキル合わせです。シーズオービタルストライク、シーズスラッシュなど、他のチームにはないシーズの合わせ方をしてラウンドを取得することが多く見えました。

4ラウンド目FUTはAラッシュを行い早めのサイト制圧を行おうとしますが、ここでセットアップが行われます。

フェイドがタワーから設置位置にシーズを投げ、ブリムストーンのオービタルストライクを入れることでウルトから逃げることを不可能にし、確実に1人は持っていけるセットを組みます。そしてウルトが終わってから組み立てなおそうとするFUTを止めるためにブリムストーンがランプを進行しショートを潰しにかかります。これによりFUTはサイト進行が不可になるだけでなく、スパイクも落としてしまいました。

さらにシーズ、オービタルストライクをシュラウドステップで回避したオーメンの場所を割り出すためのホウントを出しています。これによりオーメンの位置が特定でき、ランプにいたブリムストーンがオーメンを倒すことに成功しました。その後サイト内はヴァイパーによって殲滅されてしまいますが
、100T側のヴァイパーがローテートTP読みで残っていたため100Tのラウンド取得となります。このラウンド以外にも逆サイトを必ず1人残す戦法を取っているためローテートやラークを行いにくくしています。そのため読み合いになった場合でも、サイトを開けることをしないところも防衛の上手さが目立ちます。

2つ目に紹介するセットアップはシーズスラッシュです。12ラウンド目状況は3VS2の100T有利な場面からの始まります。配置は以下の画像の通りです

この際レイズはスラッシュ警戒のために黒コン上で相手を迎え撃ちます。スラッシュは特性上、高いオブジェクトの上にプレイヤーがいた場合、そのプレイヤーを視認すること、捕まえることができません。過去の試合でもコンテナから箱上に乗ることでスラッシュを避け、ゲッコーを倒しに行くシーンがありました(VCT2024:Pacific Regular Season Week2 Day1 PRX VS GenG バインド16ラウンド目参照)。そのような事故を減らしたり、スラッシュを壊されてワンチャンスを作らせないようにするために、シーズを投げ込むことで、相手の音を遮断するだけでなく、シーズの中心にエージェントが引っ張られるため、コンテナから引きずり降ろして一網打尽にできるということです。シーズの組み合わせと言えばシーズグレネードが主流ですが、100Tのような洗練されたチームではシーズのセットを応用させることもできます。

100Tの華麗すぎるスキル合わせ(ATK編)

100Tの攻めのセットですがとにかく単純でありながら最強のスキル合わせを組んでいます。同じことを何度もしているのに、FUT側が思うように対策がとれていない場面が多く目立ちました。何故同じセットを攻略することが難しいのでしょうか。

AセットアップとATK時の基本配置

100Tのセットの強さが目立つのはAに攻め込む時です。初期配置は上の通りです。これでラウンドが開始すると同時にショートからゲッコーがシャワーへモッシュピット空爆を投げ込みます。

 空爆を投げ込んだ後はこのような動きを行います。ショートから4人で進行。シャワーにはモッシュにより逃げてきた敵がいないかを視認するためのホウントを投げ込み、ショートからはディジーを投げ込み敵の位置を特定します。ウィングマンプラントが可能なためランプを4人で突撃し、相手エリアをバックサイトのみに限定します。その際スカイスモークをCTとタワーに置くことで、カバーが難しくさせています。よく見るトリプルと、箱の所に2つ置くオーソドックスな炊き方をしないのは、100Tがサイトを人数をかけて掌握しに行くと決めていること、そしてどこに逃げているかをシャワーから来たフェイドが視認するためだと思います。サイトを制圧することで比較的自由に立ち回ることができる100Tが攻めのファーストを取り切りました。
 このセットはシャワーで敵を見ている場合、モッシュピットにより味方と分断されてしまうだけでなく、味方とカバーを取り合うことができなくなります。そのため後ろ目で見て、バックサイトに引いたところでディジーや敵の速い攻め込みで角に追いやられてしまうので、八方塞がりになってしまいます。100TのA進行時のセットはサイトから逃がさずリテイクにかける人数を少しでも減らそうとする動きに徹しています。

基本セットに少しの改良がサイト制圧の鍵

 100TはAへ進行する場合このセットを用いますが、中々FUTは抑えきることができません。もちろんシャワーをスキルを用いて挟んだり、人数を増やして削り取る動きを見せますがラウンドが思うように取れません。そんな中、また100TのAへの進行が始まります。
 迎えた16ラウンド目、FUTはエコラウンドの為Aラッシュの可能性に賭け、A4の配置を取ります。この読み通りに100TはAラッシュを仕掛けます。しかし今回はトリプル付近にオービタルストライク、バックにペイント弾を入れることで簡単に敵のエリアを限定し、そこめがけて全員でなだれ込んでいきます。基本セットに攻撃型のスキル、ウルトを加えることで相手の予測を大きく乱すだけでなく逃げ場を失わせサイト内を簡単に殲滅します。この普通のセットに相手が慣れ始めたタイミングでセットに少しの改良を加えることで、相手の意表を突くことができます。これによりA4配置にしていたにも関わらず、FUTは1人も削ることができませんでした。

・最後に

 今回はMasters Shanghaiに出場した100Thievesのバインドの紹介をしました。守りはシーズや人数配置を活かしたプラント阻止のセット、攻めではとにかくサイトを潰しきるセットが見られました。
 100Tはミクロ面でもFUTを破壊しており、特にCryo選手のエイムの強さが際立っていました。Bへの進行、ローテートをする場合はその持ち前のミクロの強さを押し付けラウンドをもぎ取り続けていた印象があります。セットで攻め込むこともでき、相手が対策してきたらミクロ面でも相手を揺さぶれる力がある100T。マップ難易度が高いと言われているバインドで高度な戦法を多数行っているのを見ると今後も面白い試合をたくさん見せてくれそうな感じがします。


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