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アドレナリン

・ジョッキーの武豊が何年か前のインタビューで
「ドウデュースが今のぼくの生きがいですね」
というような趣旨のことを言っていた。

ドウデュースとは、
武豊を9年ぶりに日本ダービー制覇に導き、
6年ぶりに有馬記念制覇に導いた競走馬のこと。
武豊とて、そんな大舞台で何回も勝つ馬には
10年に1度のタイミングでしか出会えない。
武豊からすれば、こんな馬との出会いを
10年間ずっと待ち望んでいたということだ。

7万人の観衆が見守る舞台で人気馬への騎乗。
これもまた10年に1度の機会。
しっかりと結果を出す武豊。
この時に出るアドレナリンが堪らないんだろう。
このアドレナリンが、またつぎの名馬との出会いを
待ち望みさせるのだと思う。

得てして、突出した結果を出せる人の境地は
このアドレナリンの瞬間に照準があり、
あとは、そのための過程のようにも思える。
自分の快楽の解消のためとは到底言えないような
責任の重圧や周りからの期待を抱えて
常人では耐えられないような大舞台のプレッシャーも
言ってしまえば、当人にとっては
最高の演出なのかもしれない。

先日観た「ハートロッカー」の爆弾処理班の主人公。
このアドレナリンが堪らないといった感じで、
爆弾処理に向かう彼もこの境地だったように見える。

打って変わって、自分に問いてみる。
これほどまでのアドレナリンが放出される仕事が
できているかと。
照準はどこに定まっているのかと。
思い返しても、
そんなアドレナリンが出たことなんていうのは
もう遥か彼方の昔で、
今や照準もどこに定まっているのかわからない。

アドレナリンはリスクと表裏一体ということを
胸にアドレナリン中毒へマインドセットを
改めて、その瞬間に照準を当てていきたい。

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