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小さい頃、車の中でよくかかっていた曲

・日曜日の午前中、人もまだまばらな公園で、
通りすがりの老紳士が、ラジカセを持ち歩いていて。
その音量全開のラジカセから流れる20秒ほどの、
トランペットとエレキギターが奏でるアンサンブルは
絶対に聴いたことがあるのだけど、
いっこうに思い出すことができない。
こんなイントロクイズの宿題を抱えて、
休みの日を悶々と過ごしていたのだけど。
昨日の夜、布団に着いても眠れずに目を瞑っていたら
ふとクイズの答えが「降りて」きて。
サザンオールスターズの「海」の2分15秒から流れる
20秒強の間奏部分だったのだ。

サザンは、小さい頃に家族で旅行に行く車の中で、
ずっとかかっていた想い出がある。
「車の中で聴いた父親のカセットテープの歌」
なんていうのは平成で育ってきたぼくらにとっては、
1つの文化みたいなものだったんじゃないかな。
カセットやCDに入ってる曲しか流せない。
という「不便」の下では、
選曲の主導権はあくまでも親の側にあって、
こどもにはリクエストをする機会もなく、
それを一方的に聴くというのが使命だったんだよね。
でも、それは曲名どころか、歌手もわからないから、
メロディだけが想い出の中に残るという感じで、
記憶装置としてはこの上ない伏線だった。
わが家ではサザンの「メロディ」や、
「YaYa(あの時(とき)を忘れない)」なんかがそれで。
大学生になってから、記憶の中のひとフレーズを
手繰り寄せるかのようにネット検索をして、
曲名を探し出して自ら伏線を回収した。
今じゃ、サブスクも普及していて。
きっと、車の中でも、家の中でも、選曲の主導権は
昔よりも、ずっと民主的になものになってるから。
「車の中で流れていた父親や母親が好きな歌」
なんていう文化も、もうあまりないんだろうな。
「懐かしい」は「身体に良いこと」。
便利さの弊害はこんなところにも及んでいる。

わが家のそれは、松任谷由美の「輪舞曲」とか
織田裕二の「Orver The Trouble」だったなあ。

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