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ご当地焼きそば考

ご当地焼きそば、とは

https://www.youtube.com/watch?v=Xv8DeGM4U3g
小野瀬さんがマツコの知らない世界に出演されるということで、一人の焼きそば好きとして『何を喋って笑わせてくれるんだろう』『これを機に焼きそば好きが一人でも増えたらいいなぁ』と淡い期待をしている今日この頃。
ただ、番組内で『ご当地焼きそば』をどこまで(どのように)掘り下げるのかが分からない。『富士宮焼きそば』『B-1グランプリ』といった基本ワードは大多数の方はご存知だと思いますが、ウチの両親(70代)みたいに『何やそれ?』『焼きそばみたいどこも大差ないやろ』という方も少なからずはいらっしゃるだろうし…。

そんなわけで(?)、ご当地焼きそばの『基本中の基本』を挙げておきます。
全て主観と持論でございます。

歴史

焼きそばシティにはざっくり、2通りあります。
①戦後もしくは昭和後半から町のあちらこちらに焼きそば屋が多く存在していた町(の、だったら足並み揃えようか的な町おこし)
②B-1グランプリ(2006年)以降のB級グルメブームに乗っかった町おこし

決して誤解して頂きたくないのは、①>②ではないということ。後から追随した②は『俺らも便乗するぜぇ』といった安易なスタイルとして捉えてしまいがちですが、歴史の薄さは『ご当地焼きそば度』とは別の話です。

町を興す

ご当地焼きそば。ご当地、おらが町。
wikipedia上では、全国にご当地焼きそばを謳う団体が約50あります。
中には『うーん…』というのも幾つかありますが、それらを差っ引いたとしても充分『多い』と思います。
ご当地焼きそばと名の付くだけに『ご当地』のオリジナリティに欠かせないのが『ご当地食材』。要するに地元の食材を使いつつアピールしましょうね!ていう具合です。
その地元食材の扱いも様々で、『食材はコレとコレ、麺はコレで味付けはコレ、皿は必ず鉄板で!』みたいな全行程ガチガチのもあれば『なんとなくでいーよー』みたいなゆるーいのもあったりで、どっちが正しいってわけでもなく、なかなか難しく悩ましい点でもあります。

誰が作るのか

誰でしょうか?結論から言いましょう。
焼きそばなんて誰でも作れるでしょう?
これです!これが全てです!
ご当地焼きそばの目的は『町ぐるみで作り上げて全国にアピールしましょう』、これはどこの地域でも同じ。
そうなれば必然的にガイドラインありきの話になり、食材はまだしも調理自体が高難易度だったり手間がかかったり まして奇をてらったものなどそうそう生まれないはず。
町おこしに参加すべくご当地焼きそばに加盟したけど『こんなんやってられんわ!』で脱退されては本末転倒ですしね。
あと、これは誰しもが実体験で痛感されていると思うのですが、
焼きそばをマズく作れるのは ある意味 才能
ですよね。だから、誰でも作れるでしょう?というのが持論です。

アイデン&ティティ

ここから少し掘り下げます。
先ほど ご当地食材を用いた『オリジナリティ』について述べました。
地元の誇る名産品をアピールする絶好のチャンスですね。
近隣ということで一例に紹介させていただくと、愛知県碧南(へきなん)市に『碧南焼きそば』というものがあります。
地元特産の白醤油を用い、麺も地元の大磯屋の麺を、具材も地元の人参と玉葱を、と綺麗に地元地元で揃ってます。
市内では現在11店舗にて碧南焼きそばを提供しており、そのうち8店舗ほど行きましたが、どれも美味しかったです。
似てしまいそうで案外 似ないもんだね、という誉め言葉です。オリジナリティ万歳!

さて。
あえて詳細は伏せますが、同じように町おこしに焼きそばでアピールした町があります。
ここも同じように、地元の食材を用いましょうという点は変わらないものの、より厳密に『そんな所まで?』という様々なルールが定義されており、客観的に見ても堅苦しいイメージ。
実際に3店舗ほど行きましたが、『具材も味付けも一緒で見た目がちょっと違うくらいならどこで食べても変わらないな…』と感じたほど。美味いと残念とが半々という不思議な気持ち…。

誰がために

冒頭で『歴史の薄さ』『ご当地焼きそば度』という言葉を用いました。
戦後から続く焼きそばシティには、その存在それだけで歴史という重みがあるのは言うまでもありません。

では近年の焼きそばシティは…?
争うわけではないにせよ、町おこしという同じ土俵で相手の"歴史"という途方もない武器に対抗するには、アイディアしかないと思うんですよね。
ガイドライン、足並みを揃えるのは大事です。地元の食材を活用するのも大事です。そこは当然こだわるべきポイントです。
ただ、提供するそれぞれの店が『らしさ』という工夫を盛り込む余地は幾らか空けておかなきゃいけないよね、と思う次第です。
オリジナリティはあっていい。作られたアイデンティティは時として邪魔。

今とこれから

ご当地焼きそばには2通りあるのは冒頭で述べましたが、それぞれの現状も付け加えてみます。
①戦後もしくは昭和後半から町のあちらこちらに焼きそば屋が多く存在していた町
→俺らの町って元々市内に店がめちゃくちゃ数あんじゃん?だったら皆で団結してアピールしてこうぜ。どんなの作るかはあんまり規定しない方向で。
②B-1グランプリ(2006年)以降のB級グルメブームに乗っかった町おこし
→なるべく多くの店が参加できるよう気配りしつつ、地元食材を用いたオリジナリティで勝負したいけど正直難しい。加盟店も思ったほど増えないし…。

意見は色々あるでしょう。それでも大きくは外れていないと思います。
前者に比べて後者が苦戦(衰退)しているのは事実で、悪く言えば『付け焼き刃じゃあ駄目だったな』という一刀両断なんですが、良く言えば『よくぞ生き残った精鋭たちよ』とも言えるわけです。

ご当店焼きそば

ご当地に対してのご当店
あまり馴染みのない言葉ですが、焼きそば業界では極めてスタンダードな言葉です。
基本的に焼きそばというものは進化の過程が曖昧というかざっくりしているというか、戦後からBー1グランプリの頃まで進化(もしくは相応する変化球)が日の目を浴びることがほとんどなく、ラーメンや餃子に比べるとパッとしない世界でした。
そこにB級グルメブームが巻き起こり、各地に色々な焼きそばあるとケンミンショーで紹介され、現在に至る。

で。
ちょうど5年くらい前でしょうか?
全国主要都市に焼きそば専門店が少ないながらもオープンしはじめたんですね。
どれもこれもが本格的なもので、誰にも真似できない立派な麵料理。
屋台屋台した昔ながらの焼きそばも美味しいですが、こういった路線の焼きそばも当然ながら美味い。いや、激ウマー。
焼きそばの進化ってスゲーな!と思わずにいられません。

最後に

焼きそばは進化します。
今後も新たな路線を開拓すべく焼きそば専門店が出てくるのは確実ですし、ご当地焼きそばもその参画および参入における敷居の低さは格別ですから、今後新たな地域(団体)が登場する可能性だって間違いなくあります。
これまでのご当地焼きそば、これからのご当地焼きそば、そして焼きそば専門店、これらを踏まえて番組を視聴して頂けたらなぁと思います。
では。

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