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価値ある事業とはなにか

最近、事業戦略に関わっていて、表題の疑問について考えることが多い

大きく分けて、世に届けたい価値を追求するのか、世が求める価値を追求するのかの2つがあるが、そのどちらに寄りすぎても価値ある事業にはならない

一定のイノベーション性がなければありきたりな事業で終わる。それはやはり事業を作る側の発想でしか生まれない。一方で、社会が求めている声に耳を傾けなければ、ただ斬新なだけで終わる。

サービスモデル次第なので、別に多くの人に求められるものである必要はないが、やはり世にニーズがあるのかということは大前提考えないといけないこと。

潜在的なニーズにアプローチするために、価値を啓蒙していくにしたって、発信によってすぐに顕在化しうる潜在ニーズなのか、10年レベルで待たないと顕在化しないようなニーズなのか等の、タイミングという軸や、サービス利用や他サービスからの移行コストに値する/以上の価値があるのかといった価値の大きさの軸もある

そんなのをまとめると、下記の観点でほぼ網羅されているような気がする

・ニーズはあるか
・ニーズは顕在化しているか
・(ニーズが顕在化していなければ)どうすれば顕在化するか
・顕在化にどれくらい時間がかかるか
・サービスが提供する価値は明確か
・ニーズとサービスが提供する価値は一致しているか
・他のサービスで代替できる価値ではないか
・サービス利用(移行)コストに値する/以上の価値があるか

最近の決済サービスでは、サービス本来の期待価値ではなく、ポイント値引き等のわかりやすい「おまけ」によって、サービス利用の障壁を超えさせ、実際のサービス利用によって、ニーズを顕在化させるという手段が横行している。

おまけの付加価値によってサービス利用の障壁を超えたとして、おまけがなくなっても、サービス利用を継続しようと思える価値をどの程度の人間が感じるのかは定かでない。

中国でQRコード決済が普及した背景の内、下記のようなものを考慮すると、
・そもそも現金以外の決済手段があまり普及していなかった
・最高額の紙幣が100元(約1500円)のため、現金の持ち歩きが面倒
・偽札が流通している

日本では、
・多様な非現金決済が普及している(主に非接触IC、クレカ)
・中国ほど顕在化した現金の持ち歩きの不便さはない
・偽札はほぼない

となっており、バーコード決済でしか得られない価値が非常に少ない。

そのため、おまけの付加価値によってサービスを利用するもののほとんどがすでに非現金決済に慣れ親しんでいるもしくは、非現金決済の利用を検討している人間である可能性が高く、彼らはバーコード決済とその他の非現金決済との価値の差分を「おまけ」の部分としか見ていないだろう。

サービス本来の価値を感じてくれているわけではないため、「おまけ」の提供をやめれば、利用者は離れていく。それでは意味がない。

加盟店にとってはクレジットカードや非接触ICに比べて、導入コストがかからないという利点はあるもの結局エンドユーザーがいなければ元も子もない話である。

まあ、彼らが決済にそこまで執着するのはデータの取得のためであったりもするとは思うが、こういう状況を考えると利用者にもかなり偏りはありそうで、実際どこまで使えるデータになるのかという疑問も残る。

価値ありきのビジネスなのか、ビジネスから考えているのか、そういった違いは表側からでも一定見えそうだなと思った。

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