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自分なりの枕草子

三毛田さんの枕草子企画(企画なのか?)に便乗したい!でも、一年中夏では風情がない!そう思って、そもそも枕草子というもののことを春はあけぼのくらいしか覚えていないな、ということに思い至り、ちょっとだけ調べてみたら、いろいろあるじゃないですか。(無知って恥ずかしい)
春はあけぼのだけじゃない。
素敵!清少納言!
やるじゃん!ファーストサマーウイカ!



第二六段:原文


心ときめきするもの。
雀の子飼ひ。稚児遊ばする所の前渡る。
よき薫き物たきて、一人臥(ふ)したる。唐鏡の少し暗き見たる。
よき男の車とどめて、案内問はせたる。

頭洗ひ、化粧じて、香ばしう染みたる衣など着たる。
ことに見る人なき所にても、心のうちはなほいとをかし。
待つ人などのある夜、雨の音、風の吹きゆるがすも、ふと驚かる。

現代語訳

心がときめくもの。
スズメの子を飼う。赤ん坊を遊ばせている所の前を通る。
良い香をたいて、一人で横になっている時。舶来の鏡が少し曇ったのを覗き込んだ時。
身分の高そうな男が牛車を止めて、供の者に何か尋ねさせているの。

髪を洗い、お化粧をして、香りをよくたきこんで染み込ませた着物などを着た時。
別に見る人もない所でも、心の中ははずんでとても素敵だ。
待っている男のある夜、雨の音、風が吹き、がたがた音がするのも、はっと胸が騒ぐ。

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第二七段:原文

過ぎにし方恋しきもの。
枯れたる葵。雛あそびの調度。
二藍、葡萄染などのさいでの、押しへされて、草紙の中にありける、見つけたる。
また、折からあはれなりし人の文、雨など降り徒然なる日、探し出でたる。
去年のかはぼり。

現代語訳

過ぎ去った昔が恋しく思い出されるもの。
枯れてしまったアオイの葉。人形遊びの道具。
紫がかった青色、薄紫色などの布の端切れが、押しつぶされて本の間なんかに挟まっているのを見つけたの。
また、もらったときしみじみと心を動かされた手紙を、雨などが降ってすることもないような日に見つけだしたの。
去年の夏の扇。

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これを習った高校生の私にはまったくもって理解ができなかった枕草子も、それなりの人生経験を経た今、一部分読んだだけでも、本当に素晴らしい文学なんだなと感じます。
平安時代の夏が今みたいな猛暑だったら、もうちょっと愚痴っぽい枕草子になっていたかもしれませんね。


第七二段:原文

ありがたきもの。
舅に褒めらるる壻。また姑に思はるる嫁の君。
毛のよく抜くる銀の毛抜き。主そしらぬ人従者。

つゆの癖なき。かたち・心・ありさますぐれ、世にふるほど、いささかのきずなき人。
同じ所に住む人の、かたみに恥ぢかはし、いささかの暇なく用意したりと思ふが、遂に見えぬこそかたけれ。

物語・集など書き写すに、本に墨つけぬ。
よき草紙などは、いみじう心して書けど、必ずこそ汚げになるめれ。男・女をば言はじ、女どちも、契り深くて語らふ人の、末まで仲よき事、かたし。

現代語訳

めったにないもの。
舅にほめられる婿。また、姑にほめられるお嫁さん。
毛がよく抜ける銀の毛抜き。主人の悪口を言わない使用人。

全然欠点のない人。顔立ち・心・ふるまいも優れていて、ずっと世間で人付き合いをしてきて、ほんの少しの非難も受けない人。
同じ仕事場で働いている人で、互いに礼をつくし、少しの油断もなく気を遣い合っている人が、最後まで本当のところを見せないままというのもめったにない。

物語や和歌集などを書き写す時、元の本に墨を付けないこと。
上等な本などはとても気を付けて写すのだけれど、必ずといっていいほど汚してしまうようだ。
男と女とはいうまい、女同士でも、関係が深くて親しくしている人で、最後まで仲が良いことはめったにない。

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読めば読むほど、これって、平安時代のnoteのような気がしてきました。
もう三毛田さんの企画(企画なのか?)は、どうでもよくなってきました。毛がよく抜ける銀の毛抜き、というタイトルでnoteが書けそうです。書きませんけど。
姑に褒められる嫁などはめったにいないのは平安も令和も同じですね・・・笑

自分なりの枕草子遊び、
文章にせずともいろいろできそうですね。

朝焼けや夕焼けがきれいだなあ、と思ったり、通り抜ける風の心地よさに心を動かされたり、暑い中かき氷を冷たくておいしいなあと感じたり、そういうことすべてが、枕草子ですね。

現代語訳をもっと読んでみたくなりました。

三毛田さん、ありがとう。


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