写真展用の展示パネルにアルポリック板を使ってみた

にゃる展2ndの展示の様子

2022/5/3-5に行われたにゃる展2ndに出展しておりました。

・展示手法のpros/cons
毎度のことなのですが、展示方法には悩まされます。
展示するギャラリーの制限とか、展示するスペース、さらには展示内容のコンセプトなどから、パネル張り、直張り、額装といくつかの選択肢がある中から選ばないといけません。

お手軽なのはハレパネなどの商品名でお馴染みの発泡スチロールパネルにプリントした作品を貼って展示する方法です。これで展示されている写真展は比較的よく見かけるのですが、A3を超える大きなサイズの写真の展示はパネルの反りをどうやって克服するかという課題がいつも付き纏います。
パネルが反るということはそれが元でパネルが落下するというリスクをはらみますし、また展示作品が歪んで見えることなどもあって、お手軽さとのトレードオフは残ります。
過去の展示ではハレパネは2021年7月のpetit撮影会写真展などで使用しました。

petit撮影会1周年写真展ではハレパネを使って展示した

直張りもお手軽ではありますが、これから夏にかけて、どうしても湿度が高くなると紙に皺が寄るという問題を解決しないといけなくなります。
またなんとなくチープに見える点もどうかなっていう感じが残ってます。
とはいえ、作品展示の温かみのようなものも感じられることから、直張りの魅力は捨てきれません。2022年2月末のプラスポートレート展では直張りで展示を行いました。

+Portrait展では直張りで展示した

額装は豪華に見えたり、作品を傷めることなく展示ができるということで、もし会場設営に制限がないようであれば有力な展示手段です。
ただ、展示に使う額縁と作品のイメージ合わせ、額縁の大きさの制限、額縁の固定の仕方など、考慮すべき点が出てきます。
固定方法にはピクチャーレールからのワイヤーで吊るす方法、壁に釘を打って固定する方法などがあります。
ピクチャーレールからワイヤーで吊るす方法は簡便ですが、ワイヤーが目立つ、二段以上の展示には若干不向きかな、という気がしています。
壁への釘打ちはが、水平垂直をきれいに出さないと見た目が立派な分、その粗が目立つことになりますので、釘打ちの技術という思わぬ死角が潜んでいます。
ピクチャーレールからワイヤーを使った固定は2021年5月のにゃる展1stで行っています。

にゃる展1st(新谷るるさんと一緒に)は吊るしでの額装

また壁の釘打ちによる額の固定の展示は、2022年4月のWhat's Portrait展他で行っています。

ポートレートって何だろう(What's Portrait?)展は釘にかける形で額を固定

今回のにゃる展2ndでの展示に際して、壁面への作品の固定方法が制限(釘が打てない)されたギャラリーでの展示となっていることから、展示方法のオプションは
1)ハレパネのようなパネルを、下駄と呼ばれる板を虫ピンで固定して、そこへ接着する割と一般的な方法
2)ピクチャーレールからワイヤーで吊るして額装
3)虫ピンを使って壁面へ作品を直張り
が考えられました。ただ、3段の展示になることから額装はボツ、ハレパネは反りの問題が残り、直張りは作品への傷が残るということから第4の方法を模索することにしました。

・アルポリの採用
さて、本題に入ります。
ハレパネのように簡便に使えて、かつ反らないような強靭で軽量の板材がないか探すことにしました。
パネルを外注した場合、オプションとして挙げられるのが
1)ゲータフォームと呼ばれる板への作品の貼付
2)アルポリック(アルポリ)と呼ばれるアルミ板と発泡材の複合板への貼付またはプリント
3)アクリル板への直接プリント
さすがにアクリル板の使用はハードルが高く(ただこれもそれらしく見せる手法が紹介されていましたので今後採用する機会があるかもしれません)、ゲータフォームの使用経験は外注であったのですが、個人での板の入手が中々難しそうでした。その一方でアルポリックはオーダーカットをやってくれる業者さんをネットで見つけました。

https://www.kowa-a.jp/al-leader.html

300mm×450mmというA3ノビの一回り小さなサイズで1000円程度でしたので10枚お願いしました。送料を考えると1枚あたり1200円程度ですので、2回使えば元は取れます(そこか…)

・パネルの製作
ハレパネと違って接着面がありませんので、両面テープで固定することになります。
この時にパネル側と作品裏面にそれぞれ養生テープを貼っておきます。これにより両面テープの剥離が可能になるので、展示後の作品を回収することができます。

1)アルポリ側に養生テープを貼り、さらに両面テープを貼っていく
アルポリ板の4辺に養生テープを貼り、さらに両面テープを貼っていきます。はみ出ても後でカットするので気にしなくても大丈夫。両面テープは貼って剥がせるタイプの方が後で楽な感じがしました。

4辺に養生テープを貼り、さらに両面テープを貼ります。

2)作品の裏面にも養生テープを貼る
作品の保護にもなりますので、これは少しおすすめです。あと浮き防止に真ん中にも軽く1枚両面テープ固定を入れておきます。

プリントした作品の裏面にも養生テープを貼っていきます

3)貼付の位置合わせ
A3ノビ(329mm×483mm)のプリント用紙を使い、308mm×462mmの枠でプリントをすると大体トンボとして4mm程度取れますので、その辺を頭に入れながら貼付位置をマーキングします。位置が決まれば、両面テープの保護材を剥がして接着すればOK。

大体こんな感じで貼付

4)端のカット
カッターでアルポリパネルに沿ってカットしていくだけです。アルミ板ですので、発泡スチロールのようにあっ!ということがないので恐れることなくサクサク作業が進みます。

カッターでカット

5)作品の完成

なかなか高級に見えます

・展示の様子
今回百均で入手した黒い5mmの発泡スチロール板を1枚分下駄に使いましたが、2枚重ねるとより高級感(というか業者への発注感)が出るような気がしました。
普通に下駄を虫ピンで壁に固定、下駄に貼った両面テープでパネルを固定していきました。
展示期間中、作品の反りは一切なく、また展示作品の落下もありませんでした。

・展示作品の回収
四隅からプリントをペリペリ剥がすだけです。もし作品側に両面テープが残っても、平坦な場所でくるくる丸めて剥がしていくと作品が痛みません。
アルポリ板も無事回収できたので、また次回どこかの展示でこれを使おうと思います。
(撤収がバタバタで回収の様子の写真を撮ってませんでした)

以上、ご参考になれば。

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