海に向かって
海に向かって叫ぶ夢を見た。次の日学校でそのことを話すと、彼女は意外なほど食いついてきた
「なんて叫んだの?バカヤロー!とか?夕日に向かってさ」
なんでだよ、と思ったが、それは言わない。そんなに僕は普段から何かに怒っているように見えるんだろうか。
「覚えてない」
「それくらい覚えときなさいよつまんないなー」
「仕方ないだろ夢だぞ」
「海に向かってってことは、そっちに何かいたのよね?攻めてきた敵?去っていくカウボーイ?まさかの半魚人とか?」
ぶつぶつ言いながら考え込む。なんで海に去っていくんだカウボーイ。彼女はいつも、自分の世界に入り込んだかと思いきや、急に飛び出てくる。
「じゃあさ!」
そんな彼女にも、もう慣れた。
「今から海行こうよ。で、叫ぶの」
彼女はいつも唐突で、突然で、急激に、だしぬけに、不意に、藪から棒に、思いがけず 、成り行きで、突拍子もないことを言い出す。
「なんて。つか今から?なんで」
「いいじゃん。思い立ったら吉日ってね!行くぞ!」
彼女に手を引かれて、僕まで教室を飛び出すだす。君はいつも、前しか見ていない。僕は、その目の強さが好きだった
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