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そこに愛はあるのかい

 「みんな変わってしまうんだ」

  同級生の結婚式、二次会は辞退したその帰り道、そう言った僕に

 「そんなの当たり前でしょ」

 そう返した相手は、元同級生。卒業するまではそんなに話したこともなかったはずだけど、同窓会ではよく顔を合わせる。手には同じ引き出物。今どきカタログじゃないのか。鯛の形をした羊羹か。さすがに新郎新婦の写真が張り付いたお皿ではないと思いたい。

「このままみんな結婚して、最後まで二人だけ残っちゃったらさ」

 引き出物の入った紙袋を大きく振るようにして、彼女は言った。

「結婚しちゃおうか、私たち」

 あんなに前後に振ったら、持ち手が破れてしまわないのか。

「結構いい考えだと思わない?」

 確に良い考えに思えた。「残りもの同士くっついた」と言われるかもしれないデメリットはあるが。

「じゃあ考えといてね。お互い最後の一人になるまでに」

 手を振って彼女は改札を抜け消えていった。僕を忘れないでくれる人がいる。きっとそれを幸せって呼ぶんだね。


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