【七面鳥の話 改訂版】

こちらは丁度1年前のGWに書いた「七面鳥の話」という『投資苑』でも紹介されている有名な逸話になります。
これを読んだ多くの方から「自分の良くない癖を改善することができた」、「自分で決めたルールに則ってトレードすることの大切さが身に沁みた」などたくさんの嬉しい感想をいただきました。
しかし逸話を紹介しただけで詳しい解説をしていなかったので、いまいちこの教訓を活かしきれていない方もいらっしゃると思います。
そこで今週は改めて「七面鳥の話」と、その解説を新たに付け加えたいと思います。

〜 ある一人の男が七面鳥を捕まえようとしていた。男はワナを仕掛けていて、それは大きな箱の上に扉が付いただけの粗末な道具だった。その扉はつっかえ棒で開かれた状態で、そのつっかえ棒には一本のひもが縛り付けられ、それは数十メートル先に隠れている男にまでつながっていた。
 七面鳥をおびき寄せるためのトウモロコシが、箱まで続く細い線状にちりばめられていて、箱のなかにはさらに多くのトウモロコシが置かれていた。十分な数の七面鳥が箱のなかに入ったところでつっかえ棒をひもで引っ張ると、扉が落ちて閉まるという仕組みだ。ただ、ひとたび扉が閉まると、その扉を開くには男が出て行く必要があるため、まだ外をうろついているほかの七面鳥は驚いて逃げてしまう。だからつっかえ棒を引くのは、できるだけ多くの七面鳥が箱のなかに入ってからにしなければならなかった。
  ある日、男の箱のなかには12羽の七面鳥がいた。ところがそのうちの一羽がフラフラと箱の外に出てしまい、残り11羽となってしまった。「しまった、12羽が中にいたときに、ひもを引いておけばよかった」と男は言った。「もうちょっと待ってみよう。またさっきの鳥が箱の中に戻るかもしれない」。先ほど逃げた七面鳥が再び箱に入るのを待つうちに、さらにもう2羽が箱から出てしまった。「11羽で満足しておきゃ良かったな」と男は言った。「あと一羽だけ戻ってきたらすぐに、ひもを引こう」。その間にまた3羽が歩いて箱から出てしまっても、男は待ち続けた。一度は12羽まで増えたのだから、たった6羽であきらめるのが嫌だったのだ。  男は、最初に箱に入っていた七面鳥のうちの何羽かが戻ってきてくれるかもしれないという希望を捨てることができなかった。ついに、箱には最後の一羽しか残らなかった。「奴が出て行くか別のが入ってきたら、今日は終わりにしよう」。そして最後の一羽は、箱から出て仲間のもとへと戻っていき、男は手ぶらで家路についたのだった…

〜 解説
この逸話から得られる教訓はたくさんあります。
例えば
・強欲
・タラレバは存在しない
・損失回避の法則
・株価が戻ったら売ろうとしない
などが挙げられます。

冒頭、箱のなかに12羽の七面鳥がいた状態から1羽が逃げてしまいました。
トレードでいう含み益が減ってしまったような状態です。
その後も男の箱のなかにはまだたくさんの七面鳥がいたのでそこで満足して手仕舞いすることもできたはずですが、男はほどほどの利益では満足することができませんでした。(強欲)(損失回避の法則)

また、
「しまった、12羽が中にいたときに、ひもを引いておけばよかった」
「11羽で満足しておきゃ良かったな」
といった発言から事前にルールを設定していなかったことが伺えます。
つまり無計画ということです。
トレードにおいても、「あの時売っておけば良かった」と思うことがあるかもしれませんが相場にタラレバは存在しません。
もし「箱のなかから2羽逃げた時点で手仕舞う」などとルールを決め、その通りに実行していたなら結果は大きく違ったものになったでしょう。

遂に、男は最後まで七面鳥が戻ってくるという希望を捨て切ることができませんでした。
これは含み損を抱え、その後も株価が下がる度に「いつか株価は戻るだろう」とか、「戻ってくれ!」と思っているうちにどうしようもない水準まで株価が下がってしまった状態と同じです。
ウィリアム・オニールが言うように、株価が買値から下がったということはあなたが間違っていることの何よりの証明なのです。
そして、株価は二度と戻って来ない可能性も十分あります。
男のような「お祈り状態」に陥る前に何とかしなければいけないのです。

最後に、この日男はどのくらいの損失を出したのでしょう?
マイナス12羽の損失?
もちろん、この日費やした1日という時間は紛れもないコストですが男はマイナス12羽の損失を出したわけではありませんね。
前日比±0羽です。
心理的に男は損をした気分になっているでしょうが、装置が壊れたわけでもないので男にはまた明日もチャンスがあります。
ここで諦めてしまうのか、それともまたゼロからスタートするのか?
皆さんは一体どちらでしょうか?

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