義姉の思惑

義姉はお金が大好きだ
私も好きだけど、それは自分のお金

末期の義父の一時帰宅の時
義姉は後で次男夫婦と揉めるのが嫌なので
遺言書をきちんと書いて欲しいと
私達夫婦がここに住むのは構わない
老後の面倒は姪達が見るので私達夫婦の遺産も姪達名義で
呆れ果てた
こんな事は生涯知りたくも無かった
しかし、おしゃべりな義母が黙っているはずも無い

義父は私にひたすら謝る
今は自分が大変な時期なのに
大丈夫ですからとしか言えなかった

この話は私と義父しか知らない

当の義母は自分の事で頭が一杯である
誰が私の面倒を見るのか

そこへ義姉が『義母さん通帳は私が管理します、下さい』
流石に義母は焦ったであろう
信用金庫へ1人で行き
全額を下ろしてきた
そのお金は夫の元へ渡った
生前贈与だ
義父の指示らしい

私は関与しない、嫁はノータッチ
義父は私らしいと笑っていた
懐かし、泣けてくる

程なくして義父は天に召された
最後は穏やかに眠るように
抗がん剤の苦しみもなく
遺産相続の揉め事もなく穏やかに

義父の葬儀当日は“長男の嫁“は全く稼働せず
私は兎に角忙しかった
来て頂いた方の対応、ご挨拶にまわり
義姉は飲食に忙しかった

なんせ喪服を持っていなかった

義父の葬儀は真夏の暑い盛り
義兄は満足な喪服もなく冬の喪服
汗が尋常では無かった

外の受付をして頂いている町内会の方々も暑くて大変だ
様子を見にいくと大層お怒りで
どうやら義姉はやらかしたようだ
“がんばって“とだけ言って去ってしまったようだ

人間は思わぬところでボロが出るものだ
大変失礼致しました
平謝りだ
そろそろ人の流れも終わるので
どうか中で冷たいビールでも飲んで下さいと
ご近所さんの顔色が変わった顔が綻んでいる

なんとか場は収まった
視線を感じ後を見ると私の母と兄が立っていた
落ち着いたら家を出なさい
もう充分やり切ったと

一気に涙が溢れた
母達はそのまま帰って行った

後で夫の叔父から聞いた話、義姉が失礼な事をしたらしい
納得した、母達は切なかったと思う
色々とごめんなさい
後もう少しだけごめんなさい

余談
私の母は女親1人で私達3人兄弟を育てた
父は私が4歳の時に亡くなった
私は末っ子
父の両親即ち祖父母と父の弟、住み込みの方
総勢10人の食事を作り
朝から晩まで働きずめ

祖父母が他界し、叔父も別世帯になり
事業も縮小し住み込み従業員も居なくなり
母はやっと穏やかに暮らし始めた
母はお肌が艶々だ
娘の私が見ても羨ましい

夫は私の母達と同席していた、席を外した時に義姉が来たそうだ
何を思ったのかわからないけど
母に「お肌が艶々ですね、エステなんて羨ましい」と
馬鹿なのか
母は笑いながらありがとうございますと、エステに行った事は無いです
そう言って場を和ませいたそうだ
義姉は後ろに叔父がいる事に気づいて無かった。
叔父が一喝、いい加減にしなさいと低い声で言ったそうだ

やはり馬鹿なのか
多分そうだと思う…うん


書くことが楽しくって読んでいただけて更に嬉しぃ