四宮大登個展 アメリカの事務員の展評

勝ち目がないです。四宮大登の作品群をまえにしてすべての言葉が無効になっちゃう。批評家の椹木野衣さんが、エッセイで、こどもが描く線にはかなわない、みたいなことを書いてましたけど、こどもか大人か、男か女か、障害あるない、とか関係なく、ちょっとこれはかないません、って線を描いちゃう人はおりますよ。
このあと核戦争が起きて、恐竜が絶滅したみたいに人類が死滅するかもしれない。だけどまた人類的な小賢しい生き物が席巻するんじゃないですか。私たちがラスコーで素敵な壁画を発見したように、最初の彼等には四宮の作品を発掘させたい。だから大事にしよう。四宮の作品を異様なまでに丁重に扱うこと。それが人類に可能なさいごの表現となるのだから。

花本武(無職)
1977年生まれ。東京で書店員をしていた際に、まともをカッとばせ!「スウィング」フルスウィング展を担当し、四宮作品を扱う。

初出:SWINGING vol.28

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