『平成のヒット曲』コメント

歌は世につれ、世は歌につれ。ですよ。みんなに聴かれた曲というのは、その時代が求めていた憧れとか、欲望とか、情緒のあり方とかをうつした鏡みたいなものですよ。
「平成」を振り返る。ことに意味がないわけはなくて、この期間に日本は大きな曲がり角をむかえたわけじゃないですか。率直に言って批判的検証が必要でしょうに。
しかしそれには「作法」ってものがあるとおもうんです。本書は冷静に平成期のヒット曲とそれが受容(需要)された社会背景を結び直し、通史として提示してみせてくれます。
とってもけっこうなお手前の音楽社会学書でございました。

初出:今野書店フェア

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