書店の日常

■朝
パソコンのデータで翌日に入荷する品は、把握できます。
それで明日は、女性誌がたくさん発売する日だな、とか、
雑誌は少ないけど、書籍はいっぱい来るな、と察しがつきます。
それによって、早めに出勤するか、このくいらの時間でもいいや、という判断をします。
早いときは、5時、遅くて、7時半くらいです。
当然、定時に遅れて遅刻するわけには、ゆきません。

開店前は、雑誌の荷開けが最優先です。
雑誌の担当者の指揮のもと、結束バンドを専用のカッターで切って、
付録のある雑誌には、輪ゴムなどを駆使して、準備します。
付録が付いた状態で入荷するものと思っている方は多いようです。
定期購読のお客様の分は、予め係がメモを用意してるので、参照して店に出さないようにします。

少ない社員で雑誌の陳列を済ませます。早番のアルバイトは、8時半、始業です。
軽くミーティング。その日発売の目玉商品や、有力商品の品切れ情報等を交わします。
書籍は新刊と注文分が別の箱で届きます。
ジャンルはばらばらでごった煮状態なので、各フロアの分を箱に仕分けます。
新刊は、伝票通り入荷しているか念入りに検品します。
日曜日だけが休配。品出しに追われて、できなかった作業をする。ポップ書いたり。

レジとPCを立ち上げ、お釣りのためのお金をセットして、9時開店。
品出しする人とレジにいて接客する人に分かれる。ほとんど暗黙の了解で決まっている。
急ぎで入り用な売れすじ本などは、手配。担当営業、受注センターへ。
非常にしばしば調整出庫になる。受注があふれてるので、注文した冊数の入荷を約束できない。そこで少しでも多く入れてもらうために、書店は希望数をふっかけがち。

レジの人は、接客の合間に様々なことをする。
スリップ集計ノート記入。前日に売り上げた本のスリップを数えて、自分の担当ジャンルがどれだけ、利益を出しているか確認。それらは週一の社員ミーティングで発表する。

返品する本をデータ入力、梱包。返品したとたんに問い合わせがあることを、「書店マーフィーの法則」と言ったりするが、本当にそういうケースは多い。
無駄な在庫を抱えると経営が圧迫されるので、平積みの高い品を間引いたりすると、とたんに売れ始めて、あっという間に品切れになったりする。そして返さなきゃよかった、と後悔する。

ネット通販の品を梱包、発送。
時間のあるときには、カバーを大きさごとに折りためておく。

客注係は定期購読者、入荷した本の注文者に連絡。しばしば事故が起きる。
客注品を店に出して売ってしまったり、単純に入荷しなかったり。
確実にすぐ入る問屋の倉庫に在庫があれば、ほぼそれはない。専用の箱で届くから。
出版社からの取り寄せの際は、短冊に客注の伝票ナンバーをメモしてもらう。
届くはずの品が届かず、お客さんに詰め寄られたら、最後の手段。
競合店の在庫確認のうえあれば、購入して渡す。当然利益は出ない。
なければ、ひたすら謝る。

■昼
11時から13時くらいより、一時間、早番は休憩をとる。各自食事など。たいていあまった時間は、店内の雑誌、本を読む。商品知識を蓄えるという名義で。たいていはマンガ。
遅番の始業は13時半。社員は早めに出勤することが多い。
午後の便が届くのもその頃合い。雑誌は朝便のみ。

版元営業の方が来店する。情報交換と称してひたすらおしゃべりをしてしまうことがままある。注文、フェア提案、仕掛け販売のすすめ、新刊指定などが本分。

レジをしめる。誤差が出たら原因追求。両替。事務所に万札を預ける。

棚メンテナンス。棚から売れた品をストックしていたら、差しておく、なければ取次か版元にウェブ注文。版元作成のランクが付いた注文書を利用することもある。棚欠本と称す。
背表紙が傷んできたりしたら、注文書を利用してごっそり入れ替えることもある。
常備契約してる版元もある。

たまにメディアに書評などを依頼されることがある。店の宣伝になるので、たいてい引き受ける。著者の書店まわりがあると、浮足立つ書店員がいる。

■夜
早番の終業は社員で17時、アルバイト17時半が定時。残業もままある。

各所からのファックスにて、重版、新刊、メディア露出、などの情報を得る。注文が必要なものには、番線という取次が管理している書店の住所ともいえる番号のハンコを捺印して、返信。

フロア内の陳列の乱れを直し、平積みを整理。店内清掃。

閉店は、10時半。

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