福田繁雄さんを悼む。

福田繁雄さんが亡くなったとききました。
ぼくにとって
アートっておもしろい!
ということを最初におしえてくれた
偉人なんです。
中学生のときに横浜のどっかのデパートの
上のほうの催しもの場で
まとまった作品をみました。
催しもの場といってもあの頃(景気良かった頃)は
立派なもので充分に美術館と言って差し支えない規模で、
実際「~美術館」と名乗ってました。
いまはほとんど見かけませんけど
東京の大丸美術館とか
新宿の三越美術館とか
平気な顔してデパート内に美術館があったんですね。
おもえばいい時代でした。
ぼくはそういうところで気になる展示があると
月2.3回くらいのペースで足を運んでいた時期がありました。
そのきっかけになったのが、
横浜でみた福田繁雄さんの展覧会だったんです。
中学校の美術の資料的な教科書で
エッシャーとマグリットの絵が紹介されていて
魅入られまして、トリックアートには憧れがありました。
そんな折に日本にも負けずとも劣らぬ凄いトリックアーティストが
いる!みたいな触れ込みで福田さんの展覧会が喧伝されるや、
これは行かねばなるまいとおもいました。
エッシャーのかの有名な「滝」
水の流れを目で辿っていくと滝となって注いだはずなのに
気がつけばまた注ぎ口まで昇ってきてしまっている
あの摩訶不思議な絵(正確には版画)です。
福田さんは、その「滝」を立体化(!)したものを出品していたのです。
いまおもいおこしても興奮する視覚体験でした。
当たり前ですが目の錯覚を利用して、
決められた場所から決められた角度で作品を見ることで
成り立つ超トリックアートなのでした。
後にエッシャーやマグリットの作品も
デパート内の美術館で鑑賞することになりました。
福田繁雄さんのご冥福をお祈りいたします。


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