夏葉社代表島田潤一郎独占インタビュー 予約のできない男たち

「ここに毎朝10時にきて、19時20時まで」10時に出勤っていうのは、創業当時から?遅刻したことない?「最近は定時にきたことない」誰かに怒られるの?「わけないじゃん」すごいね!今ぼくがここにお水をこぼしたら怒られる?「これで飯喰ってるわけだから(怒)」雑誌部やってんだって?「こんどジュノン読むよ」フクイくんがいるのがいいよね「フクイさんに幸せになってもらいたい。あんな良い人間いない。フクイさんの素晴らしさがわかるのに一年くらいかかって・・・」わかると虜だよ「あの人はだいたい働いてるか予約してるかどっちか」そうそう。飲み会の手配ね

「島田先生の本読ましてまらいました。編集の経験がぜんぜんなかったのに、よくこんな好事家に愛される本をどんどん出せましたね「仕事をまわしてくれて教えてもらいつつですが・・・アマチュアですよ」
ええ、アマチュアってこたないでしょう「本にも書きましたが、こうゆう本をつくりたいっていうのがあれば作れるように思います。それがまったくないとつくれない気もしますが。結局仕事のお願いの仕方って、こうゆう風につくりたいんですがって現物を見せて、そうすると紙の厚さはこれくらいで、だとかこうゆうページ必要だな、組み方はこれくらいでみたいに伝えるとデザイナーさんがやってくれて、そんな風につくれますよ」へえ~

「『昔日の客』も元版がキレイだから・・・」お、これですか。字組みゆるいですね!「この組みだからあの組みになった。それで手刷りね。ほら。ここまで元版の編集者やってんだったらっていうのはありますよね」これがああなったんだ「これがああなった。もっと言うと『レンブラントの帽子』の元版は、ガッチガチ」濃密な字組みだ!「これは売れないだろう、とおもって」これはこれでカッコイイけどね「そうなんだけどね。これが八篇入ってるから・・・」大胆ですね、三篇にして復刊「これで2500円とかだと外文好きな人しか買わなくなっちゃうから・・・」なるほどね。三篇に絞るのは悩みましたか?「そうですね」最初の一冊ですしねえ

「昔の本のほうがきれいですね」それいい言葉だ
※二人でしばし島田氏の蔵書棚から昔の本を引っ張りだして、目を輝かす。
「本好きな人はわかりますよ」そうそうこれが例え全く読解できない字で書かれていたとしても、好きだし欲しくなる。あ、ちゃんとスケジュール表あるんですね「そりゃありますよ」「古い本でかっこいいのがいっぱいあるってわかったのは、出版社はじめてからですね」わりと最近「中身はもちろん大切だけど、「本」として欲しくなるものをつくりたい」
※ふたたびいろんな島田氏お気に入りの本を手にとりつつ
すごい!いいですね「そうでしょう」気さくな感じがしますね「うんデザインがえばってないでしょう」古本屋さんとかで見つけてくるわけだ「そうですね、もちろん新刊書店でも」

最近これはやられた!みたいにおもった本とかありますか?「ええ、『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノサノヴァカバーを歌う女の一生』とか『あの頃。』」サブカルですね「ああゆうの作りたいですね」そろそろ?「そろそろってこともないけど(笑)」音楽でもそうゆうのあったりしますか?「前野健太さんでしょうか。『あの頃。』とか前野さんっておもっきり「同時代感」みたいなものがあるじゃないですか。これだよなあっていう。ぼくにはつくれませんが、憧れがありますね」

ところで男性と女性はわかりあえますか?私は今日それをききにきたようなものです「えっそうだったんですか。男のほうが子供っぽいでしょう」そうかもしれないね。でもフクイくんは子供っぽくないよ。ぼくらがつらいときとかもすごい予約してくれるじゃん「偉大です。雑誌部でもそうですよ。ぼくらがいくらわるく言っても、くささない」そして予約!「ああゆう人間にならなくちゃね」いつかはね

「ツイッターとかやってると時々こわくなるんですよ。昨日書いたことには、もう価値がなくて、それどころか1時間前に書いたものより今書いたものが重要で・・・」ああ、ツイッターにかぎらずあらゆるメディアが速くなってて、どんどん状況が更新されていきますね。本にはそれがない。一時間後に内容が変わる、とかありえないわけで。そうゆう状況に抗うのがぼくらの仕事かもしれませんね「どのように抗うかも問われます」あんまり真面目に抗うのは良くないです「そうおもいます。真面目にやったら負けますね」真面目にやったら真面目な奴に負けます「基本的にぼく真面目なようで不真面目で不真面目なようで真面目」たしかに。いつもふら~と店にきて、うろうろ徘徊してるけど(笑)「真面目なことを不真面目にやりたいっていうのがあります」それは上手くやれてますよ(笑)「まあ基本的に馬鹿だし、目の前のことしか出来ないし」

あとおもうのは、馬鹿で一生懸命な人には、まわりに良い人材が集まりますよ「ええ、ほんとうにそうかもしれません」予約してくれるフクイくんとかね「あ今度飲み会の幹事やるんですよ」予約か~「予約ができないんですよ(笑)」なにもかもが不安なんですよ、予約って「いろいろ不測の事態を考えちゃいますもんね。今から予約の電話をしてこのインタビューをしめましょうか?」そうしなよ!「あすいません、予約をお願いしたいんですが…

初出:2014年製作冊子「オールアバウト夏葉社シマダ


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