脱走のための三行詩と四行詩

記憶ないライオン
草原の椅子で
物語はじめた

海鳴りで目覚め
大雨の予感
ビニール傘を買った

一時間が凍って
手袋を買いに
坂道を走った

眠れない夜
暖かくして
スープを飲んだ

透明な看板
渡された場面
海面に手を伸ばす
あれから毎日

飛んでいった右手
使用済みの右手
何も持たぬ右手
渡された左手

雨の日のカーニバル
ずぶ濡れのパレード
何事もなく
おごそかな日

ベランダで眠る
白亜紀の夢
ティーシャツの白さ
だれも起きない

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