『夫婦間における愛の適温』刊行記念トークイベント向坂くじら×紗倉まな適温をさぐる私たち

 「言葉」に愛されている人。詩人、向坂くじらさんの文章で使用される「言葉」は、置かれるべき場所を完璧に把握していているうえに、通常の響き以上の意味を盛ったり、効果をあげられるよう計算されているように感じる。大仰な言い方をしてしまったが、実際そのように大仰なことを無理なく、どこか余裕すら感じさせる散文に仕立てあげているから、ついつい安易にこう評してしまいたくなる。向坂くじらはまぎれもなく「天才」である、と。

 百万年書房から刊行された『夫婦間における愛の適温』は言ってしまえば夫婦間の身辺雑記なのだが、まったくほっこりするものではない。かといって不穏ではない。とりとめなくはまったくなくて、論理に裏打ちされている。赤裸々でもなくて、笑いでも自虐でもない。じゃあなんなの?なんなのかわからないけど、精確に書かれていることがわかる。

 誰かが誰かと一緒に暮らす、というのはどういう事態なのか。丹念に困惑しながら、探ろうとしている。とても正しく困惑して、ときに脱線もするし、なんでそうなるのか?と読者を困惑に巻き込むような展開もある。だけどとてもフェアな向坂さんは、読者たちとほど良い距離を保ち、読後感をその都度調整してくれる。やけに安心なのだ。

 そんな向坂さんとのトークのお相手として紗倉まなさんをお招きします!正直なところ企画者はこの組み合わせに興奮が止まらない。手前味噌で悪いのか、と開き直りたい。紗倉さんの最新作『ごっこ』の完成度が高すぎて私は度肝を抜かれました。このお二人の対話が実現するのですよ…。

向坂さんを魅了する紗倉さんの魅力とは。そして紗倉さんは『夫婦間における愛の適温』に何をおもったのか。絶対注目のお二人による悶絶必至のトークイベント。いますぐ申し込んでください!!

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