類書のない本

類書のない本というのは偉い。「市川崑のタイポグラフィ「犬神家の一族」の明朝体研究」
映画監督、名匠市川崑が自作で使っていたタイポグラフィを研究し尽くしたもの。針穴に糸を通すようなコントロールで読者に届けることが要求される一冊だ。
「東京トイレマップ」は、トイレ臭のないお洒落な作りで売れるとおもった。カフェを案内するような本の担当者に委ねた。するとどうだろう。売れなかった。目利きじゃないから、しょっちゅう見誤る。無性に売ってやりたくなった。当時構想中だったキノコ本フェアは唐突に「キノコ本VSトイレ本フェア」に変更された。
「野宿入門」はアウトドアの棚にあることが多いがどうもしっくりこない。野宿を愛する一風変わった女子の野宿賛歌だからだ。感化されるもされないも自由。寝袋で自由の幅を広げちゃえ。うちの店では、服部文祥さんの本と袋綴じで野グソ写真を拝めることが物議を醸した問題作「くう・ねる・のぐそ」の間に並んでる。

初出:本の雑誌

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