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母「額縁マット」を手作りする~「二人の女神」と母の認知機能

母の刺繍作品の中に、古~い作品を見つけた。額縁の入っている箱には「二人の女神」と書かれている。「ちょっと、このまま飾るのは~」というぐらい額縁もマットも汚れていた。

でもよく見ると、作品に施されている刺繍が、とても凝っていた。布が見えないぐらい、全てステッチで埋められている。「これ、全部、糸で刺したんだ~」と感心した。

トランクルームから、自宅に持ってきて、どうせこのまま飾れる状態ではないしと思い、額縁から外してみた。

するとハメられていたマットが、なんだか変だ。よーく見ると、カッターナイフで、切った際に残された「刺」のような部分が、内側にくっ付いている。さらに裏側には、鉛筆で書いた線が何本かあって、いかにも素人が、工作した感じだった。

「どうして、こんなふうになっているの?」と尋ねると、「だって、自分でやったから~」と母は答えた。

この作品を刺した頃、「お店まで持って行って、ちゃんと額縁に収める」という発想が無かったというのだ。だから、厚紙に線を引き、自分で切り抜き、マットを作り、適当な額縁に作品を収めたとのことだった。

使われているステッチは、「ハーフクロスステッチ」と「フラット・ステッチ」が2種類

「フラット・ステッチ」は、空間を埋める時に使用する、平面か平らに仕上げるステッチの総称で、様々なステッチを含みます。

雄鶏社2001年発行「1000のステッチ」板垣文恵/監修


コングレスのような布に、刺繍をしてある。

写真では、よくわからないけれど、
刺繍をしてある本体の「布」に、「シミ」がついていて、洗いたくなる。


「クロスステッチ」が嫌いな母の頭の中

寒さが苦手な母は、このところ気温が下がってきて、元気がない。「今年は、寒さが堪える」と毎年、必ず冬になると言っている。今年も同様で、寒くなった途端に、「もう長生きしなくてもいいわ~」と年寄ぶってくる。

でも、刺繍の事を尋ねると、あの分厚い本の中から、ステッチが掲載されているページを探し出し、「これよ~」と回答を示してくる。母の頭の中は、どうなっているのだろ~。

先日、近所の「ユザワヤ」で、偉い先生が監修した「脳トレ用のクロスステッチキット」が売られているのを見た。
そこには、こう書かれていた。

前頭前野の機能をトレーニングすることで脳の活動を活発化。認知機能の向上が期待できます。

「ユザワヤ」HPから

ジャバクロスの細かい「目数」を数えながら刺していく作業は、確かに、すごく頭を鍛えるのだろう。

母は、「私、クロスステッチは、あんまり好きじゃないの~」と以前、言っていたけれど、「ユザワヤ」で売られているキットよりも細かい「目数」を数えながら、さんざん刺繍してきたはずだ。

この作品も「ハーフクロスステッチ」が使われてる。そのお陰なのか、92歳の母は、デーサービスの80代の方よりも、発言がしっかりしているのは、確かだ。スタッフの方たちも、それを分かって母に色々、振ってくる。

母の脳は、刺繍によって、かなり鍛えられてきたのだろうか~。

それにしても、母の「手作りのマット」が、あまりにお粗末なので、むかしから、母がお世話になっている神田小川町の「草土舎」で、新しく額縁とマットを探しに行こうと思っている。



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