120パーセントの課題
2024.09 #01
大雨が通り過ぎ、本流は大河川の如く濁りと幅を持ちながら流れている。このような時は本流での石の作品の制作は避け、ロケハンや情景の撮影に徹底することにしている。そして9月になり僕にとってはとても動きやすい季節になった。夏休みが終わり20km以上になる渋滞から解放される。加えて駐車スペースの問題も軽減し、川で他者とのバッティングも減り、暑さもやわらいでくる。とてもありがたい。ただ物事というのは片方の襖が閉まると他のどこかが開くという話があるように、9月になると虫が大型化しアブや蜂などに刺された際のリスクや動物の脅威に触れてしまう可能性が高くなる。それぞれの自然の動きに合わせた対策が必要になるのが自然との関わりで、それは四季といわれる「4つ」以上に細分化されたものだと感じている。
今のところ平日の毎週決まった曜日に雨でも晴れでも川に出向くことを習慣としている。どのような自然条件にでも対応できるように、そしてやる気や体調に左右されないようにこれをルーティンとしている。
さて、今回の本題でもあるタイトルにある「課題」について話を進めたい。ネガティブな内容だったりあまりワクワクするような内容ではないのでつまらなく感じさせてしまうかもしれないがこのまま進めることにする。
僕は2010年から石を積み始めていて、10年以上電車とバスを利用して川や海に行っていた。そう、つい最近になって車の免許を取り車で川まで行くようになった。電車であれば行き帰りの時間に寝ることができる。これは車を運転するようになって実感しているのだが、回復する時間を持てるのか、エネルギーを消費する時間になるのかの両極の過ごし方になるので影響はとても大きい。
そして駐車スペース問題は果てしない。バスであればある程度どこでも降りられて地元の人しか入れないエリアにも行くことができた。それにより美しい石がたくさんあるエリアや人が入ってこない集中できる環境や、豊かな自然を確保することができたのだ。車での移動にしてからは基本的には川に降りたい場所では駐車することができず、なんとか路肩にスペースを見つけても私有地であったり、目的の場所まで歩いていくのに時間がかかり過ぎて重い荷物を持って動くには現実的ではなかったりする。またホームとしているエリアは工事車両も多く、早朝に空いているスペースがあっても工事の為に駐車する可能性があるので時間をずらして確認してからでないと停められない。
このようなことにエネルギーを使い過ぎる為に、制作の為の体力・気力がかなり少なくなってしまい、また帰りの運転のことを考えると以前の電車やバスでの移動のように誰かが運転してくれるわけではないので、120パーセントの力は使えない。
勤め人をしていた時には全体で7,8割のエネルギーでコンスタントな成果を出すことが求められていたが、アーティスト業を始めてから120パーセントで毎回、毎回限界を塗り替えていくことが必要だと知った。その為休む時間もしっかりと確保する。だが90パーセントのエネルギーでの挑戦では人を感動させられるような作品は産み出せない。これはこの仕事での限定的な傾向かもしれないが、事実であると思っている。
なので現状としては120パーセントで臨める状況を車での移動を前提として作り出す必要がある。その為の具体的な課題がとても多く、今はそれを整理しながら解決策ややり方を模索しているところである。