2024.09 #02 山は霧雨に包まれている。この場所を隠すかのようにひっそりとした空気と川の流れる音が集中を深める。増水による影響も落ち着き水位は下がり、石を積もうと思っていた土台となる岩盤がようやく川面から現れた。 実は6月に作品を作ってから新作のコンセプトを練ったり、それに合わせた気象条件を待ったり、ロケハンをしていたりでなかなか作品の完成まで辿り着けずにいた。そして今日、思い描いていた全ての条件が揃い川に向かった。念の為、次の日も制作ができるように少し町に下った
2024.09 #01 大雨が通り過ぎ、本流は大河川の如く濁りと幅を持ちながら流れている。このような時は本流での石の作品の制作は避け、ロケハンや情景の撮影に徹底することにしている。そして9月になり僕にとってはとても動きやすい季節になった。夏休みが終わり20km以上になる渋滞から解放される。加えて駐車スペースの問題も軽減し、川で他者とのバッティングも減り、暑さもやわらいでくる。とてもありがたい。ただ物事というのは片方の襖が閉まると他のどこかが開くという話があるように、9月にな
2024.08 #02 ここのところの雨で川は増水している。夏の雨上がりの川には新鮮で非常に美しい蜘蛛の巣が張り巡らされていることが多い。今日もそれに出逢うことができた。僕のホームとしているエリアでの増水は周りを囲んでいるのが低山のお陰で、突然もの凄い勢いの水に攫われるということは滅多にない。そして川に長時間浸かっているとわかるのだが、1日のうちで川の水量は頻繁に上下を繰り返している。上流部で雨が降ると川の水量は一時的に増すのだが、その分流れが早くなり時間あたりに水がたくさ
2024.08 #01 川まで何十メートル降ればいいのだろうか。「良い場所」を求めて早朝からすでに4時間は車を走らせている。ここは奥秩父の山の中だ。僕が言う「良い場所」というのはロケーションが良いということはもちろん、良い石が多く、人がほとんど来なく、獣との遭遇率が比較的低い場所のことを言う。このような贅沢な要求を満たしてくれる場所は数少ない。 実は僕にとってロケーションが良い場所を見つけるのは結構簡単で、その場所が四季や天候・日の当り方の変化でどういう表情を見せてくれる
2024.07 #01 朝4時に起き朝ごはんを食べ身支度をして車を走らせる。5号池袋線から都心環状線へ入り、4号新宿線から中央道、八王子インターで高速を降りて檜原村へ。朝早く出発したことで渋滞に巻き込まれず2時間はかからずにいつもの駐車スペースに到着した。しかしすでに僕はかなり疲れていて、夏の暑さも相まって30分ほど車の中でぐったりとしていた。ここのところの暑さと度重なるストレスで自律神経が安定しておらず、この時点で熱中症になりかけていたのだろう。車を降り川に入る準備をする。