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青の彷徨 前編

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昭和の末期、全国の医薬品卸は300社ほどあったのが30社ほどに収斂されていった。異常な慣習や滑稽な日常があった。その中を必死に生き抜いた男の姿を描きたい。
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#正月

青の彷徨  前編 23

 年末最後の仕事を納めてノッピの元に戻ったのは九時前だった。周吾は毎度のこととはいえ、年末の区切りが就いたことに安堵した。仕事の雑念を払って、ノッピと二人二回目の正月を迎えることができる。嬉しかった。ノッピはご飯も食べずに待っていてくれた。今週は一日しか戻れなかったので、寂しかった。丸二日ノッピに会えなかった。周吾の大好きな鍋をつついてお酒も少し飲んで、一緒に片付けをして、風呂に入って、ソファーに並んで座った。周吾は今現実なのか、と思った。愛しくて、愛しくて堪らない人とこうし