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青の彷徨 前編

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昭和の末期、全国の医薬品卸は300社ほどあったのが30社ほどに収斂されていった。異常な慣習や滑稽な日常があった。その中を必死に生き抜いた男の姿を描きたい。
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青の彷徨 前編 2

万丈支店は当直二名を除き、女子社員三名を含め全員宴会に参加した。大日製薬が支店総抱えで宴会を持ってくれるので、本社から幹部も集結し、支店社員との親睦を図ることにした。新製品の実績は、宮内推進部長の話によると、万丈支店が断然にいいそうで、大日製薬も喜んでいた。 宴会は無礼講が建前だが、京町健太郎社長の隣には大日製薬の支店長が座り、五味支店長の隣には安田課長が座った。五味安田コンビは酒が飲めず、ゴルフの話ばかりで、気が合うのだ。周吾は橋田祐太郎と小林政男の間に座ることにな