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青の彷徨 前編

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昭和の末期、全国の医薬品卸は300社ほどあったのが30社ほどに収斂されていった。異常な慣習や滑稽な日常があった。その中を必死に生き抜いた男の姿を描きたい。
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#阿修羅

青の彷徨  前編 13

 周吾はその後、すっかりノッピにのめり込んでいた。週末は必ず一緒に過ごした。  十二月二四日イブの日は土曜日だった。ノッピから、この日はエスケープしようと誘われていた。  周吾は金曜日の夜、仕事を終えて、大分の上野の山に行く。ノッピのマンションだ。九時前に着いた。  「アオ。何か食べてきた?」  「食べてない」  「そう。じゃ、先にお風呂入って。用意しとくから」  ノッピは薄いピンクのワンピースに、濃いピンクのエプロンをしている。エプロン姿は初めてじゃないが、つい目を奪われる