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七月も終わりに近い日に、北の井の部屋を出て、東丹から東山に向け、楡の森を左手に見ながら私は散歩していた。東丹に近い楡の森の七前にある陶芸工場の軒先から、中で志野が一人轆轤を回しているのが見えた。牧村は志野が陶芸をしているのは聞いていたが、実際にやっているのは初めて見たので、つい興味がわいて中に入っていった。志野は茶碗らしき物を作っていた。 「お邪魔して、見させてもらっていいですか?」 そう聞くと、 「いつもあなたの描いているのを勝手に見ていて、自分がやっている時はだめ