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大学卒業後にどの先生のお稽古を受けるか


卒業後の先生選び

大学のサークルで邦楽をしていた人が卒業後も続ける場合、選択肢は2つあります。

  1. サークルの先生のお稽古を受け続ける

  2. 別の先生のお稽古を受ける

  3. 先生につかず一人で練習する

一人で楽しむ分には3でも問題ありませんが、大学生活という限られた時間では上達に限界があるので、もし継続的な上達を目指すなら1か2になります。卒業後に先生の家に通える場合は1が可能ですが、遠方で就職したり地元に帰る場合は2になるでしょう。この際、サークル時代には無かった先生選びが発生します。

地唄箏曲には当道会・宮城会・正派・沢井箏曲院などと流派が分かれており、流派の中でも先生が分かれていますが、大学のサークルではそれを意識する機会はほとんど無いと思います。多くの大学では純邦楽サークルは1つのみですし、箏・三絃の先生1人、尺八の先生1人が多いので、先生を選ぶ余地が無いからです。

ところが卒業に新規で先生を探す場合、数多くいる先生から一人を見つける必要があるため、以下のような悩みが発生しやすいと言えます。

  • 先生をどこで見つければ良いか分からない

  • どの先生を選べば良いか分からない

一度先生につくと後で変えづらいので、慎重に選びましょう。これは私の実体験ではなく聞いた話ですが、ある先生のお稽古を受け、合わないと思って別の先生に変えてしまうと、「弟子を奪った・奪われた」と先生同士が険悪になることがあるそうです。私が最初にお会いした先生からは、「先生の演奏会を聞きに行ったりして、1年ぐらいじっくりかけて先生を選んだほうが良い」とアドバイスを貰いました。さすがに1年は大袈裟ですが、後で先生を変えるのはリスクが高いということですね。

先生の探し方

①三曲協会のサイトを確認する

多くの地域では、都道府県単位で三曲協会が存在します(関東や関西だと人が多いので、市単位もあります)。三曲協会のサイトには各流派の先生の連絡先が書いてあります。もし書いていない場合、三曲協会の事務局に連絡して教えてもらいましょう。私自身、大分に引っ越してから大分県三曲協会のサイトを確認し、片っ端から連絡しました。

②自分に合った先生を探す

サークルの先生と同じ流派を探すのが確実ですが、同じ流派の先生がいなかったり、サークルとは違う曲を弾きたいことがあるかもしれません。その場合、自分が弾きたい曲やジャンルを先生に伝えると良いでしょう。

  • 古典や宮城曲(唄物)が得意

  • 宮城曲(器楽曲)が得意

  • 沢井忠夫曲が得意

のように先生によって得意ジャンルが違うので、自分が弾きたい曲が先生のレパートリーに含まれるか、お稽古をしてもらえるか確認できます。私は「泉」や「ロンドンの夜の雨」を弾きたかったのですが、最初に連絡した何人かの先生はそれらを扱っていなかったので、最終的に宮城会の先生を見つけてお稽古を受けることになりました。

※宮城曲のレパートリーについては各流派で差があります。当道会などの古典メインの流派だと「春の夜」「比良」などの唄物は得意で「瀬音」「さらし風手事」などの器楽曲は苦手な先生が多いですし、沢井箏曲院などの新曲メインの流派はその逆です。宮城曲全般をやりたいなら宮城会の先生につくのがベストです。

※お免状の取得を目標にする場合はその流派の先生につく必要がありますが、詳しくは別の記事で説明します。

③体験お稽古を受ける

良さそうな先生を見つけても即決せず、体験でお稽古を受けることをおすすめします。先生によって実力やお稽古の指導内容がピンキリなので、お稽古を受けたら自分に合わない場合があるからです。

体験お稽古では初めての曲ではなく、自分が弾き慣れた曲を持って行くほうが良いでしょう(私は大学時代に弾いた「春の海」と「さらし風手事」を持って行きました)。自分が経験のある曲であれば、先生がどれぐらい弾けるか、どこを指導してくれるか確認しやすいからです。

体験お稽古では以下の点を確認しましょう。

  • 先生の実力(地唄箏曲であれば唄、手どちらも)

  • 先生の指導内容(技術的な指導が多いか、音楽表現の指導が多いか)

  • 入会後のお稽古代

④入会連絡する

何人かの体験お稽古を受けて、自分に合う先生へ入会連絡をすれば、その社中の所属となります。入会しなかった先生とも演奏会などで顔をあわせたり、合奏する可能性があるので、礼儀として辞退の連絡をしておきましょう。

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