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抵当不動産の第三取得者は,保証人に対して債権者に代位することはできない。 

債権者甲に対して債務者乙のために第三者丙が弁済をする場合,丙が甲のために抵当権が設定されている乙所有の不動産の第三取得者である場合には,丙は,弁済により乙の保証人である丁に対して甲に代位する。
(×)

甲:債権者 甲
乙:債務者 かつ 不動産抵当権設定者
丁:乙の保証人
丙:抵当不動産の第三取得者

 抵当不動産の第三取得者(丙)は,保証人(丁)に対して債権者(甲)に代位することはできない。 

理由づけを考えてみる。

 もともと保証人(丁)は債務者(乙)が自分の不動産に抵当権を設定していたので、多少なりとも安心して保証人になっていたと思われる。もし自分が保証人として弁済しても、自分(丁)が債権者(甲)に代位して、抵当不動産の保証を受けられるからだ。
 これが、土地を取得した第三取得者(丙)に代位されたら、保証人(丁)としては、丸裸で債務者(乙)の保証をしなければならなくなる。それは無体すぎる。
 なので、抵当不動産の第三取得者(丙)は,保証人(丁)に対して債権者(甲)に代位することはできない。

具体的な数字を入れてみる。

債権額:100万円
土地の価格:100万円

  1. 第三取得者(丙)が 債権者(甲)に100万円払う。
    →債権者(甲)はバイバイ👋

  2. 第三取得者(丙)は保証人(丁)に対しては代位できない
    →保証人(丁)はバイバイ👋

  3. 第三取得者(丙)は債務者(乙)には代位できる。
    →丙が乙に100万円の債権を取得する。(これだけが残る(たぶん))
    もし、ここで(乙)から(丙)に対して抵当不動産の売買債権が100万円だとしたら、代位によって(丙)が(乙)に対して得た100万円の債権と相殺して、チャラにできる。
    →第三取得者(丙)と債務者(乙)ともバイバイ👋
    みたいな結論で良いのか?




(弁済による代位の効果)
第五百一条 前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。
 (略)
 第一項の場合には、前項の規定によるほか、次に掲げるところによる。
 第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。
 (略)

民501条

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