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簿記実用力(7) しいくりくりしい 棚卸高の評価 脱税と粉飾 b007

先日、日商簿記3級受験のことを書きました。
そこで改めて、日商簿記3級合格=再就職の実務に役立つ簿記実用力の証明になるといいなあと思いました。
今日も昨日に続き簿記実用力のある日商簿記3級について書きます。

簿記3級を学習して最初の山が借方貸方なら、次の山が三分法による売上原価の算定ではないでしょうか(個人の印象です)。簿記の学習をしたことがあるかは「しいくりくりしいって何のことだかわかりますか」と質問すればわかると思います(仕入繰商繰商仕入と覚えたかもしれません)。これは実務でも同じなのですが、期末商品棚卸高の評価方法が異なります。

3級では商品有高帳で払出単価の計算について学習しますが、先入先出法と移動平均法の2つを学習します。先入先出法は説明を受ければ、順番なのでわかりやすいですが、移動平均法は仕入毎に平均取得単価を計算するので、今一つわかりにくく、手で計算すると間違えます。(株式を勉強して)13週移動平均を知っている人ならともかく、わかりにくいと思います。これが実務でも必要な評価方法であれば勉強する意味もあると思うのですが、実務は(他の評価方法を税務署に届け出ない限り)最終仕入原価法です。

この評価方法は簿記ではまずお目にかかりません。売価還元法は習いますが、最終仕入原価法は習った記憶がありません。
どうやら会計基準では評価方法として定められておらず、特定の場合においてのみ、適用が容認されているようです。会計基準と法人税の違いですね。
> EY新日本有限責任監査法人 用語集
https://www.ey.com/ja_jp/corporate-accounting/glossary/glossary-sa/saishu-shiire-genka-hou

税務署の立場からすれば、最後の仕入を確認すればよいので、簡便なんだと思います。移動平均法で評価されたら、棚卸高が正しいか確認するのに時間を要します。

経理で大切なことの1つが正しい申告(税務調査に耐えられる)だとすれば棚卸高の評価の重要性について3級でも学習した方がよいと思います。
棚卸高を減らせば、売上原価は増えますので、利益が減少し、法人税も少なくなります。意図的ではなくても、棚卸高が少なければ税務調査で問題となる可能性があるという知識が必要でしょう。
一方、棚卸高を増やせば、売上原価は減りますので、利益が増加します。法人税は多くなるので、税務調査で問題とはならないと思います(次期以降これを売上原価とした時に損金不算入にすることが前提ですが)。しかし、これを使って銀行融資を受けると...
最終仕入原価法を学習すれば、棚卸高の評価方法の実用力アップだけでなく、会計と税務の違い棚卸高の評価の重要性がわかって面白くなると思うのですが。

実用力で想ったことを書いています。note 12番目の記事です。
よろしくお願い致します。
2022年11月22日
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