【フォト・ドキュメント】パンクムーブメントの軌跡【最終回】
東京ロッカーズと同時期に出現したバンド「8 1/2」(ハッカニブンノイチ)。パンク第1世代のバンドでありながらニューウェイブを先取りした彼らの音楽性は今もインディーズ史に残る偉業として記録に刻まれている。果たしてその実態とはどのようなものだったのか。地引雄一氏が語る——
パンクからニューウェイブへの道
新時代の先駆者たち
8 1/2
挑戦的で危ない目つき
「“ハッカ”は日本のニューウェイブのパイオニアだと思ってるよ」
活動期間がたった2年でありながら、ニューウェイブシーンに巨大な爪痕を残したパンクバンド「8 1/2(ハッカニブンノイチ)」(通称=ハッカまたはハチカ・以後ハッカ)。78年に千葉で結成された。メンバーは久保田慎吾(Vo)、小森敏明(G)、中島一徳(B)、泉水敏郎(D)上野耕路(Ky)の5人。
「ハッカのメンバーは全員千葉在住でさ。泉水君とカズ(中島一徳)のバンドに慎吾と小森君の二人が合流して、そこに上野君が加わったらしい」
千葉の老舗ライブハウス「マザース」のメンバー募集の張り紙を通じて活動を開始したハッカ。デビューライブは、78年9月に新宿ライヒ館モレノで行われた東京ニューウェイブコンサートだった。ちなみにこの時、のちに「テクノ御三家」と呼ばれるテクノポップバンド・ヒカシューも同じくデビューライブである。
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