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「ウシジマくんよりもっとエグかった」。歌舞伎町五人衆と呼ばれた男が明かす「闇金全盛期」

歌舞伎町を闊歩する
ブランドに身を包んだ男たち

 ちょうど20年前。再選した石原慎太郎都知事によって「歌舞伎町浄化作戦」が開始された。

 街の治安は実際のところ最悪だった。銃殺や強盗といった事件が多発、現在のように大学生や外国人観光客が寄りつける街ではなかった。しかしそんな街を闊歩する男たちがいた。“歌舞伎町五人衆”と呼ばれた若き“黒幕”たちだった。

「“五人衆”はネットで勝手に広まった呼び名。グループではなくて、それぞれが街で派手に遊んで、名前を売っていた人間です。あの頃の歌舞伎町は闇金バブルで、エルメスのカバンを持って夜の街を歩いている人間は、半分以上ウチの従業員だったと思います。僕は毎日マイバッハを有名キャバクラ店の前に横付けしていました」

 そう振り返るのはX氏だ。

 ベストセラー漫画『闇金ウシジマくん』でも描かれた歌舞伎町の闇金融ブームの源流は、00年台初頭の旧五菱会系の「カジック」グループだと言われている。全国の多重債務者リストをもとに、ダイレクトメールや営業電話をかけ、無担保融資の勧誘するというスキームを構築。客と顔を合わせない「IT詐欺の先駆」としても知られ、全盛期には年間収益1000億円を誇った。

 一説には約千店舗と言われた闇金業者がひしめく歌舞伎町で、X氏が会社をスタートさせたのは00年代初頭のことだった。

「ちょうど当時出てきたのが闇金でした。それまでのビジネスで裏人脈は築いていたので、ここで勝負しよう、と。1000店舗はさすがにマスコミが盛りすぎだとしても、歌舞伎町周辺に300以上はあったのではないでしょうか。関係する従業員は1000人を超えていたでしょう。まさに群雄割拠の時代というか、色んな事件もありました。『ウシジマくん』は読んでないけど、リアルな現場はエグいことも多かった。他のグループを潰すために人を逆さに吊ったり、僕も足を撃たれたり、そんなことが日常茶飯事で麻痺してしまうアウトレイジな街でした」

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