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「カップ酒」×「コンビニおつまみ」最強の組み合わせは…年間100本の一升瓶を飲み干す酒豪がガチ採点!頂点に輝くのはどれだ!?

カップ酒。哀愁ある響きである。出張帰りの新幹線。ビールをプシュッとやるのは平気なのに、カップ酒を開けるのは何故かちょっと気恥ずかしい。元々は酒と言ったら日本酒だったはずなのに、今やすっかりビールに地位を奪われてしまった。
だがそんな日本酒の復権を目指し、元唎酒師(ききざけし)で酒クズのキモトリコが、コンビニで買えるおつまみとカップ酒の最強組み合わせを考えてみた。

「花らっきょう」にそっと寄り添う、個性なき絶対王者「ワンカップ大関」

 さて、はじめの対決は。
 カップ酒と言えばこれ、「ワンカップ大関(現在の正式名称は上撰ワンカップ)」。コンビニでもキヨスクでも買えるカップ酒界の知名度ナンバーワン。そもそも日本で初めてカップ酒を売り出したのが、この大関だ。
 対するは桃屋の「花らっきょう」。その昔、歌舞伎役者の六代目尾上菊五郎が死の間際に所望したと言われる名品!
 それがコンビニで手に入るなんて実に良い時代である。

花らっきょう(税込400円)/上撰ワンカップ(税込264円)
※編集部調べ参考価格・以下同

 それでは早速……。
 まず酒をぐびり。空腹にアルコールが染み渡る。
 胃がじわりと熱くなり、時間差で身体中をかけ巡る幸福感。
 ああ、この瞬間のために生きている。

 では、いざ花らっきょうを。
 口の中に広がるラッキョウの風味。程よい酸味とわずかな辛み。
 そこに間髪入れずに酒を流し込む。
 う、うまい!

 ワンカップ大関は典型的な昔ながらのタイプの日本酒。香りは地味で、味はすっきり、後味にやや甘みが残る。普通に美味しいが、際立った個性はない。
 一方、花らっきょうは独特の風味があり、意外と酒を選ぶおつまみだ。酒の香りが強すぎるとぶつかるし、繊細すぎると酒の方が負けてしまう。
 だがこの酒はらっきょうと争うことなく、共存している。主張の強い花らっきょうにすみやかに勝ちを譲り、そっと寄り添うのだ。自らの無個性によって、相手の個性を引き立てている。完璧である。
 正直、大関ワンカップを少しみくびっていたようだ。長年カップ酒界に君臨してきた理由が、少し分かった気がする。

相性    ★★★★
コスパ   ★★★★★
オススメ度 ★★★★★

脂っこい「やきとり」も無限にいける「樽酒ネオカップ」のキレ味

 勝負を次に進めよう。
 酒は、菊正宗の「上撰樽酒ネオカップ」。容器が従来のカップ酒としてイメージされる形状ではないが、本記事では開けてそのまま飲める日本酒をカップ酒と呼ぶことを許されたい。
 対するは、みんな大好きホテイの「やきとり」。酒に合わせて塩味をチョイスした。
 では早速実食。

やきとり(税込205円)/上撰樽酒ネオカップ(税込261円)

 まずは酒を一口。
 味は大関より切れ味がよく、ほのかに樽の香りが広がる。今回はカップで買ったが、時々瓶でも買っている、定番の樽酒だ。もちろん単体でも十分旨い。

 次にやきとりに箸を伸ばす。
 強めの塩気に、わずかな炭火の風味。そして再び酒を……。
 う、うまい!(本日2回目)。

 ホテイのやきとり缶は割と皮が入っていてやや脂っこさがあるが、それをキレのある菊正宗が洗い流してくれる。強過ぎない樽の香りも良い。
 焼き鳥を食べる、酒を飲む、焼き鳥を食べる、酒を飲む、そしてまた焼き鳥を……。
 これは無限にいける。完璧なる永久機関が完成してしまった。
 あっという間に完食して次なる戦いへ。

相性    ★★★★★
コスパ   ★★★
オススメ度 ★★★★

高級路線の「缶つま」×「キンカップ」、果たして相性は…?

 続いての勝負も、同じく菊正宗の「しぼりたて純米キンカップ」。
 純米酒でありながら大吟醸のような香りがするという前評判である。
 対するはK&K「缶つま うずら卵」。缶詰系はどうしても肉や魚ばかりに偏るので、あえての卵を選んでみた。

缶つま うずら卵(税込410円)/しぼりたて純米キンカップ(税込289円)

 では早速、酒から。
 カップを開けた瞬間からふわりとメロンのような吟醸香が漂う。
 口に含むと、果実感のある華やかな含み香で、確かに大吟醸の趣である。
 キリッと冷やして飲むとフレッシュ感がすごい。

 そして、そこにうずら卵を一口。
 ううん? 先ほどの吟醸香が一瞬で消えてしまった。
 卵自体は非常に美味しい。塩気も程よく、スモーキーさもある。酒のあてとしては申し分ない。
 再度、酒を一口飲む。
 あ、合わない。ウズラのスモーキーさと、酒の吟醸香がバッティングするのだ。

 それぞれ単体で楽しむ分には問題がないのに、組み合わせると非常に残念な感じである。
 必ずしも、美味しい×美味しい=もっと美味しい、ではないことを思い知らされた結果であった。

相性    ★
コスパ   ★★
オススメ度 ★★

「ふなぐち」の強アルコールに負けない「いわし蒲焼」の主張の強さ

 最終決戦の酒は、カップ酒界のラスボス、「菊水ふなぐち」。
 菊水ふなぐちは定番の黄色以外に新酒の緑缶や熟成酒の赤缶など、別のバージョンが存在するので、見かけた際には是非購入をお勧めしたい。ちなみに私のイチオシは赤缶であるが、今回は一番オーソドックスな黄色で戦いを進めようと思う。
 対するはマルハニチロの「いわし蒲焼」。イワシを焼いて甘辛いタレに絡めた一品である。熱々ごはんに乗せて粉山椒など振るとオツな丼が完成するが、今回はストイックにそのままいただく。

いわし蒲焼(税込270円)/菊水ふなぐち(税込344円)

 ではまずは酒を……うわぁ、相変わらず濃い!!!!
 このシリーズの特徴はとにかくアルコール度数の高さで、なんと19度もある。飲むとアルコール感に加えて、甘みと旨みがギューっと押し寄せてくる。火照っていた身体がさらに熱くなる。
 そこに蒲焼を一口。タレの甘さと酒の甘さが口の中で渾然一体となって押し寄せてくる。
 どちらも一歩も引かない主張の強さ。最終決戦だけのことはある。
 口の中での心地よい戦いを感じていると、いつの間にか酒も缶詰も空になっていた。

相性    ★★★★
コスパ   ★★★
オススメ度 ★★★

コンビニ酒盛りは下手な居酒屋よりコスパ◎

 戦いは終わった。
 試合の後に待っているもの。それはもちろん味噌汁である。

二日酔いにも効く!(税込170円)

 セブンプレミアムの「カップ味噌汁 しじみ」。肝臓に優しい一杯だ。
 こちらを啜りながら本日の勝負を振り返る。

 4試合いずれも名勝負で、酒やつまみ単体と組み合わせた結果で印象が変わることが非常に面白かった。また、最近はコンビニも充実していて、下手な居酒屋にいくよりコスパよく酒盛りできることもわかった。今回はつまみを缶詰や瓶詰めで揃えたが、次回はお惣菜系でも試してみたいと思う。

 さて、では栄えある優勝は……
 やきとりとらっきょうで僅差ではあるが、今回はワンカップ大関の良さを再確認できた、花らっきょうとの組み合わせを推したいと思う。

 皆様も、よきカップ酒ライフを!

<著者プロフィール>
キモトリコ
年間100本の一升瓶を空ける会社員。元唎酒師。毎日如何に美味しく酒を飲むかに心を砕いている。
stand.fmにて「自意識ねじれ系会社員キモトリコのめんどくさい日常」を配信中。X@ricokimoto

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