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【ルポライター安藤海南男「さよならマスゴミ」#9】大メディアの特権は黒塗りの高級車

前回の記事はこちら↓https://note.com/jitsuwa_knuckles/n/na425431db367


 記者の特権を象徴する最たるものがハイヤーだ。私自身、警察担当をしていた3年ほど、その特権を味わった。黒塗りの高級セダンが目の前に止まり、後部座席に乗り込む時、優越感などなかったといえば嘘になる。電動リクライニング付きの革張りのゆったりとしたシートに身を沈め、空調の効いた車内でくつろいでいると、自分が何者かになったかのような錯覚に陥ったものだ。

 警察担当の「番記者」として課された最大のタスクは、捜査員から公になっていない捜査情報を聞き出すこと。自宅から駅への通勤路や、帰宅途中の捜査員をつかまえる、いわゆる「夜討ち朝駆け」のために使うというのが不文律になっていた。

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