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酒井透

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(さかい・とおる) 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイールやパ… もっと読む
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#地蔵尊

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】石川県・金沢市『大円寺の骨仏』

 大円寺に伝わる寺伝によると、この骨仏は、往事の住職であり画僧でもある心岩上人(※)が発案したもので、宿場町の入口にあった地蔵尊の脇に集められていた旅人の遺骨が使われているという。  江戸時代末期、宿場町では、病気や怪我などで亡くなった旅人の遺体を荼毘に伏した後、その遺骨を地蔵尊の脇に集めていた。江戸参りをすることが多かった心岩上人は、誰からも拝まれることのない遺骨を各宿場町で拾い上げ、粉末状にしてから膠(ニカワ)に混ぜて樫の木で造った木像に塗り込んだ。このときに膠に混ぜた

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】古河市高野の「ろうそく地蔵尊」

300年続く奇祭  茨城県古河市に『奇祭中の奇祭』と呼ばれている祭りがある。8月23~24日にかけて古河市高野の高野八幡宮で行われている「ろうそく地蔵尊」がそれだ。  この祭りがピークを迎えるのは、初日の午後8時頃。硬い石で作られた地蔵は、紅蓮の炎に包まれ、その周りは、ろうそくの炎が発する熱の影響で灼熱地獄になる。ろうそくに火をつけている世話役の人たちの額からは、幾状ものの汗が滴り落ちている。でも、この地蔵は、何を語ろうともしない。ひたすた”耐えて”、”耐えて”いる。世話